話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
CS決勝を左右する金崎vs.遠藤航。
初戦は遠藤に軍配、次なる策は?
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/12/03 07:00
浦和では3バックの中央がすっかり定位置となった遠藤航。前へ行く力、後ろで跳ね返す力、危険を察知する力が生きる場所だ。
エースをシュート3本の無得点に抑えた遠藤の貢献。
しかし、後半17分、柴崎岳が入ってくると空気が変わったのを感じた。それ以降、遠藤は金崎と柴崎の動きを注意深く見ていた。ファーストステージ15節で対戦した時、柴崎からのクロスを金崎に決められて失点し、大事な試合を0-2で失ったという苦い経験があったからだ。
「柴崎選手が入った時、モリくんと僕と阿部(勇樹)さんがそこをどう抑えるか、その難しさがあった。結局、自分は夢生くんの前でボールを取るのを意識しながら裏を取られた時のケアを考えていたんで、モリくんに前向きにプレーさせて、自分はカバーという感じでやっていた。それでしっかり対応できたと思うし、これは次の試合でもいきると思います」
この試合、遠藤は金崎をシュート3本、無得点に抑えた。危ないシーンもあったが、エースをゼロに封じたのは浦和勝利のひとつの要因だろう
後ろからつなぐ、という理想と蹴る割り切り。
もうひとつ、初戦の勝因を挙げるとすれば、浦和の“割り切り”があったからだ。
鹿島戦、浦和は最終ラインからつないで攻めることを意識していた。サイドチェンジやロングボールからの展開は浦和の得意技だが、後ろからつなぐことができればチームの攻撃パターンは増し、さらに相手を崩していくことができる。チームが成熟していく上で必要なテーマだったのだ。
「後ろからボールをつないで、ボールを動かしながらしっかりと崩していく。それは理想としてあって、そういうイメージはしていたんです。でも、後ろでボールを動かしてから縦に入れる時の精度が悪く、崩しきれなかった。あと、鹿島が前向きで強く守備にきた。最後のゴール前は相手の守備にハマってしまった感じでした」
つなぐ意識はあったが、うまくできなかったのは鹿島の球際の厳しさとハードな守備があったからだ。ただ、優勝がかかった試合ゆえに浦和が慎重になっていたということもあった。