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エディー時代との違いは「キック」。
ラグビー、ウェールズ戦の指針。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byJun Ikushima
posted2016/11/19 11:00
ウェールズ代表とともに並ぶ、ルーティン中の五郎丸フィギュア。ウェールズの地でもその名は知れ渡っているようだ。
エディー時代との大きな違いはキッキング・ゲーム。
さて、カーディフで練習に励む日本代表はどんなプランを持ってウェールズ戦に挑むのか。
FW戦で劣勢に立たされるのはやむを得ない。ジョージア戦の反省を生かし、スクラムでは反則を犯さず、マイボールでは質の高い球出しをしたい。
不安定だったラインアウトはヘッドコーチ自らが丁寧に指導に当たっているが、マイボールは100%、確保を目指したいところだ。そのうえで、「ディシジョン・メーカー」、意思決定者たちには賢いゲームプランの実行が求められる。
ジェイミー・ジャパンとエディー・ジャパンの戦い方でもっとも大きな違いは「キッキング・ゲーム」に対する考え方だ。
スーパーラグビーのハイランダーズでジョセフHCの下でプレーした経験を持つSHの田中史朗はこう話す。
「ジャパンがやっているラグビーは、ハイランダーズと変わらないですよ。アタックコーチのトニー・ブラウンはスマートな試合運びを好むので、エリアをしっかり取りながらゲームを進めていきます」
キックを賢く使い、ゲームを作ることがベースに。
かつて、日本のアタックと言えば欧州のメディアの中には「フランティック」(「狂乱の」、などあまり良い意味ではない)と評されることもあったほどだが、ジェイミー・ジャパンでは、キックを賢く使い、ゲームを作ることがベースにある。
選手たちも、ゲームプランを理解し始めた。共同主将のひとり、HOの堀江翔太は、「エディーさんの時は、キックとパスの比率が6対1くらいだったんですが、いまは2対1くらい。そうしたスタイルにようやく慣れてきました」と話す。