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平昌五輪、フィギュアは昼間開催?
米TV局の放映権問題は2020年も。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJMPA
posted2016/11/13 07:00
羽生結弦が金メダルを獲得したソチ五輪のフィギュアは、日本時間で深夜開始だった。放映権と時差は、商業化された五輪が抱え続ける問題だ。
米大手テレビ局のNBCが巨額な放映権料を払っている。
アメリカでは三大ネットワークの1つ、NBCが独占放映権を持っている。その放映権料は巨額で、国際オリンピック委員会(IOC)にとって最大のスポンサーと言ってもいいくらいだ。
午前10時から、という競技スケジュールは、州によって異なるが、おおむねアメリカのゴールデンタイムにあたる。つまり、NBCの意向が、競技スケジュールに大きくかかわっていると見るのが妥当だ。
過去にも、同様のケースはあった。1988年のソウル五輪で陸上の決勝が午前中になり、2008年の北京五輪では競泳や体操が午前中から決勝が行なわれるスケジュールとなった。
放映権料は、IOCのみならず、各競技団体などにも配分される。だから競技団体も公然と批判することは難しい構造がある。
北京五輪でも生活サイクルが変わる選手から戸惑いが。
試合の時間が変更になるということは、さまざまな点が変わることになる。
競泳の場合、たいていの種目は、午前~昼過ぎに予選、夜に準決勝、その翌日の夕方~夜に決勝と、2日間の決まったサイクルがある。北京五輪のスケジュールを知ったとき、選手から戸惑いの声が上がった。サイクルがリズムとして体に刻まれているからだ。
サイクルには、レースのみがあるわけではない。その合い間にウォーミングアップとして泳ぐ時間であったり、昼寝をとる時間であったり、調整も含まれる。数々の大会を経てその段取りがしみ込んでいる。その変更には時間と工夫を要する。付け加えれば、時差調整はそこまで負荷とならないという。
フィギュアスケートも試合のみではない。通常は試合当日の午前中に公式練習がある。そこから試合までの時間も、調整の一環だ。