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松井秀喜が語る2020年、その先の未来。
世界に伝えたい「日本のスポーツ文化」。
posted2016/10/11 12:10
text by
鈴木忠平Tadahira Suzuki
photograph by
Kyodo News
日本で行われる国際大会、2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2021年の関西ワールドマスターズ・ゲームズへ向けてのキックオフイベントとなるが、スポーツや文化における国際交流について、トップ選手たちが、どんな思いや実感を持っているのか。今フォーラムのアンバサダーであり、日本プロ野球の読売巨人軍やアメリカ大リーグのヤンキースなどで中心選手として活躍した松井秀喜氏に聞いた。
――現在、ヤンキースのGM特別アドバイザーという肩書きをお持ちですが、具体的には、どのような日々をお過ごしですか。
「肩書きはそうなっていますが、主な仕事はヤンキースのマイナーチーム、3A、2Aを見に行くことです。アドバイスがある時はアドバイスしますが、基本的には選手の状況を報告するという形の仕事ですね。ホームゲームの時に行くので、基本はニューヨークから通っています」
――スポーツは国籍や言語を越えて、1つになれる力を持っていると言われますが、実際にアメリカでプレーされてきた中で、チームメートやファンとの交流など、そういう実感を持たれたことはありますか。
「僕としては、基本的には、日本でもアメリカでも、野球は野球ですよね。アメリカ人のファンの方にも、日本人の選手を通して、日本に親近感やプラスなイメージを持ってもらえたら嬉しいなと、思っていました。それができたかどうかは別としまして、ファンの方にも、チームメートにも、そういう気持ちは常に持っていました」
言葉の壁があっても、ある種の人間は乗り越えられる。
――海外に出ると、まず「言葉の壁」というものがあると思いますが、それを乗り越える力もスポーツにはあるでしょうか。
「それは間違いなくあると思います。普段、野球をやっていても、やっていなくても、試合の中であっても『自分がいて、チーム』ではなく『チームがあっての自分』だという姿勢や行動をお互いに見せることによって、たとえ『言葉の壁』があったとしても、どういう人間なのかというのは、お互い通じる部分があります。僕も色々な選手を見て、それがわかる。言葉とは違った部分で、精神的なものや、人間性が見えてくると思います。『チームがあっての自分』と考えている人は、それがちゃんとみんなに伝わるということですよね」