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松井秀喜が語る2020年、その先の未来。
世界に伝えたい「日本のスポーツ文化」。 

text by

鈴木忠平

鈴木忠平Tadahira Suzuki

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photograph byKyodo News

posted2016/10/11 12:10

松井秀喜が語る2020年、その先の未来。世界に伝えたい「日本のスポーツ文化」。<Number Web> photograph by Kyodo News

サンフランシスコで野球教室を開いた時の松井。様々なイベントを通して、今でもアメリカとの交流は続いている。

日本人の優れた精神性が世界に発信されれば……。

――それはアメリカに来られてから、より感じることですか。

「そうですね。アメリカに来てから、より感じますね。野球の場合、人だけではなくて、球場、道具、そういうものにも常に敬意を持って接する。そこを徹底して教えられるというところがいいですよね。小さい頃から野球をやっていて、どこかで野球をやめる時が来たとしても、それ以外の場所でも十分に通用するし、身につけておいた方がいいことだと思います」

――スポーツの国際大会というものは、世界から多くの注目を集めます。まず、ラグビーワールドカップ2019、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、関西ワールドマスターズゲームズ2021において、日本が世界の人にどんな風に思っていただきたいか。また、日本からどんなメッセージを発信できたらいいと思いますか。

「う~ん……。難しいですね(笑)。以前、馳前文部科学大臣とお会いした時にお話ししていたのが、敬意を持って何事にも接する、敬意を持って受け入れるという日本人の持っているいい部分、精神性です。それは自然と身についている部分なんじゃないかなと、僕は思うんですよ。そういう部分が出せれば、来てくださった方々に、日本に対して、日本人に対して、いい印象を持っていただけるんじゃないでしょうか」

国を越えてのスポーツ交流はどうあるべきか?

――スポーツを通じた国際交流、国際貢献活動を広げていこうという「SPORTS FOR TOMORROW」も2020年に向けて始まっています。地域を活性化する、国際交流を促す、開発途上国を支援する。そういった側面をどのように思いますか。ご自身が経験された具体的な経験があれは、それも教えてください。

「これは、コメントして正しいかどうかはわからないですが、経済的に豊かな国と貧しい国というのがあって、できるところは支援をした方がいいと思いますが……。

 例えば、野球の場合は国を越えて、というのは難しいんですが、僕は昔、個人的にベトナムの方に野球用具を送ったり、里親になったりしていたことはありました。では、それでベトナムで野球が盛んになったかといえば、そうなっているわけではない。それは個人の問題だし、僕の立場から、どうこう言えることではないですよね」

【次ページ】 東京五輪の後も野球がずっと正式種目であるように。

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