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「ウッシーコール」は今も変わらず。
シャルケと内田篤人、相思相愛の今。 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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posted2016/10/04 16:30

「ウッシーコール」は今も変わらず。シャルケと内田篤人、相思相愛の今。<Number Web> photograph by AFLO

プロは厳しい世界である。内田篤人がここまで手厚いケアを受けるのは、これまでに積み上げたものがあればこそなのだ。

位置、骨の付き方が他の人と違う内田の脚。

 10月2日、ボルシアMG戦をスタンドで観戦していた内田が、現状について話してくれた。

「日本でリハビリをするなかで、MRIに映る(痛みの箇所を示す)白いのが小さくなった。だから、(鹿島の)優勝が決まる前日の練習で6対6までできるようになったんだけど、ドイツに来たら、また痛みが出てしまった。それもあって、ちょっと日本へ戻って様子を見てもらって、簡単な治療をすることになった。大したものではなかったんだけど、またやっちゃったみたいな報道がドイツで出てたよね」

 本当はひっそりと帰国し、ドイツへ戻りたかったと笑う。

「俺は、脚の位置、骨の付き方みたいなものが少し他の人とは違っているんですよ。それがわからず、一般的な位置に戻そうとしていたから、なかなか良くならなかったし、逆に悪くなるようなこともあった。だから、俺にとって正しい位置はどこかっていうのを探して、そこへ戻すようなリハビリを鹿島でやったら、良くなっていた。でもまたドイツでいわゆる一般的な位置に戻そうとしたから、痛みが再発してしまった」

日本人トレーナーも参加して、既にダッシュも可能に。

 そういう過程を経て、内田はクラブにある提案を行う。シャルケのクラブハウスには一般の人も利用するリハビリセンターが併設されていて、内田も日々そこでリハビリを行っている。

「俺の脚は普通にやっても治らない。そのことを熟知している人は日本にいる。その人じゃないと治せない。だから、その人とドイツにいる日本人トレーナーに連絡をとりあってもらって、リハビリを見てもらおうと。シャルケにお願いして、日本人トレーナーがメディコス(リハビリセンター)で仕事ができるように許可をもらったんです。そのトレーニングがすごく良くて、いい感触がつかめている」

 内田本来の位置に脚を戻す。その作業を本格的にドイツで行っている。その結果、すでに100メートルダッシュなど、スプリント系のメニューもこなせるようになった。

「今は、10月4日にMRIを撮るから、少し負荷をかけないトレーニングをやっている。実際痛みがないから、MRIを撮る必要もないかなって思うし、もしまだ白いのが映っても、痛みがないんだから大丈夫だと思うけど、チームスタッフを安心させなくちゃいけないからね。その検査を終えなくちゃ次のステップへ進めないから、俺は早く撮ってくれって思っている」

 軽快に話す内田の姿に、状況が好転していることが伝わってくる。しかし、それでも安心できるわけじゃない。これまでの長い時間が彼を慎重にさせる。

【次ページ】 「俺の脚は、教科書に載っている骨とは違ったんだよね」

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