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DeNAが“Aクラス常連”になるために。
ラミレス監督が語る終盤戦の指針。
posted2016/09/05 11:00
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph by
YDB
8月を終えて、CS圏内の3位をキープ――。これは横浜DeNAベイスターズ5年目にして初めての出来事である。
球団初のCS進出へとにじり寄るチームを率いるのは、就任1年目のアレックス・ラミレス監督だ。開幕前、指導者経験のほとんどない外国人監督に向けられる視線には、期待と不安が入り混じっていた。現時点(9月1日終了時点、以下同)での3位という順位は、勝率5割を切っているとはいえ、指揮官としての一定の力を示したものといっていいだろう。
開幕直前にインタビューした時、ラミレスは「弱いチームから強いチームへの意識変革」の方策を、こんなふうに語っていた。
「やはり選手たちに自信をインプットすることだと思う。重要なプレーヤーは、調子が悪いからといってスタメンから外したりするとモチベーションに関わってくる。試合で使い続けることによって、チームの柱だという意識を選手たちに刷り込んでいく。そうすることで『自分が、自分が』という精神が芽生えてくるんじゃないかな」
不調のロペスを5番→3番に“昇格”させたことも。
ここまで120試合あまりの戦いぶりを見る限り、ラミレスはこの言葉通りの選手起用を貫いてきた。準レギュラー格だった桑原将志、倉本寿彦、宮崎敏郎、さらに捕手にはルーキーの戸柱恭孝を抜擢し、調子を落とした時も我慢強く出番を与え続けることで頼もしい存在へと引き上げた。
中軸を打つロペスに関しても然り。8月、30打席連続ノーヒットと極度の打撃不振に陥った助っ人を、先発から外すことなく復活を待ち続けた。自らの経験に重ねて「スランプの後には爆発がある」と見抜き、5番から3番にまさかの“昇格”。下位に落とすセオリーとは異なる配置転換を断行すると、その後の4試合で16打数11安打2本塁打と文字通り“爆発”、読み通りに劇的な復調へと導いた。
信念と我慢の采配を実らせてきた指揮官だが、1年目ということもあって、シーズン当初は迷いもあったという。8月下旬、ミーティングの合間を縫ってインタビューに答えたラミレスは、歩んできた日々をこう振り返った。