松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
松山英樹がクラブを戻して復調気配?
「難しい方が研ぎ澄まされる」説も。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2016/07/29 17:00
この日の松山英樹は、ショットの力感が戻っているようにも見えた。ゴルファーである限り、試行錯誤は続くのだ。
パットには「それ言ったって、終わったことなので」
心配されていたスイングの感触も良かったのかどうか?
「スイングはいい方向に行っている。でも、今日は結果は良かったけど、感触はそんなに良くない」
それならば、パットはどうかと問うと「ミスらしいミスは1回しかなかった」と及第点を付けてはいたが、この日の2ボギーがどちらも3パットによるものだったことや、18番で3メートルのイーグルパットを外してバーディーに甘んじたことを思えば、この日一番悔やまれたのはパットだった。
「それ言ったって、終わったことなので。明日は入るように頑張りたい」
スタート前の懸案はアイアンショットに対するものだったが、終わってみれば、残ったのはむしろパットの課題になっていた。
ドライバーもアイアンも、ひとまず昔に戻った。
クラブを「変えて」、そして再び「戻した」松山の今季の変遷を、ここであらためて振り返ってみよう。
新しいドライバー(Z565)を実戦で初めて試したのは、世界選手権シリーズのブリヂストン招待。しかし次戦となった全英オープンでは打ち慣れた従来のドライバー(ZR30)に戻し、今週もそれを使っている。
アイアンは、長年愛用のマッスルバック型をハーフキャビティ型の新アイアンに持ち替えたのがマスターズ後のウエルスファーゴ選手権。そのウエルスファーゴは11位、その翌週のプレーヤーズ選手権は7位と直後の結果は上々だった。だが、メモリアルトーナメント以降は予選落ち続きで成績は低迷。そして今大会では使い慣れたマッスルバック型に戻した。
つまり今大会ではドライバーもアイアンも昔に戻ったことになる。使い慣れたクラブに戻したことが、この日のまずまずの発進につながったのか? 使い慣れているという安心感がショットの改善につながったのか。
そう問いかけると、松山はそのほとんどを否定した。
「たまたま結果がそういう風になったけど、(クラブが)悪ければ僕は使わないし、みんなが心配しているようなことは僕はないと思ってます。僕はただ気分的に代えてるだけ。スイングが固まれば別にクラブは関係ないし、もうちょっと安定したものができれば、またキャビティに戻すかもしれないですし」