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全米プロで再会した池田勇太の変貌。
30歳、契約解除、そしてリオ五輪。

posted2016/07/28 11:40

 
全米プロで再会した池田勇太の変貌。30歳、契約解除、そしてリオ五輪。<Number Web> photograph by Sonoko Funakoshi

歴代最年少での選手会長として、新規大会を作ったりと足跡を残した池田勇太。いまは1ゴルファーとして、上を目指している。

text by

舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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Sonoko Funakoshi

 全米プロ開幕を明日に控えた猛暑のバルタスロールで、池田勇太の表情がやけに引き締まっている。

 この大会後は、リオデジャネイロ五輪に向かう。2週前の全英オープンの際、五輪のことが気になるかと問いかけたときは「いいや。これはこれ。それはそれ」と言っていた。だが、日の丸を背負って挑む五輪がどんどん近づいた今は、緊張感もさらに高まってきているからこそ、精悍な表情になるのではないか。

 そんな気がして、もう一度同じ質問をしてみると、彼の返答はやっぱり「これはこれ」。

 本当に『これはこれ』などと、くっきり分けて考えることが、できるものなのだろうか。そう思って再度、尋ねてみると、「できるんじゃない。五輪はまだ始まってない。この試合に集中するのが大事」。

 そこまで言い切るのだから、できるのだろう。いや、できているからこそ、池田は続けざまに挑戦している世界の舞台で、着実に前進を見せているのだと思う。

 しかし、五輪は五輪、これはこれだとすれば、彼のあの引き締まった表情を生み出しているものは、果たして何なのだろうか。

6年ぶりの全米、そして5年ぶりの全米プロ。

 6月の全米オープンは池田にとって、2010年以来6年ぶり2度目の出場だった。久しぶりに踏んだ大舞台だったせいだったのかもしれない。オークモントに挑んだ池田は、やや興奮気味に「トップ10入りを目指す」と高い目標を掲げた。しかし、あえなく予選落ち。池田自身、「意気込みすぎて空回り気味だった」と振り返った。

 7月の全英オープンは、そんな全米オープンでの反省を踏まえ「気楽に自然体でやる」。リラックスモードにもっていく作戦が功を奏したようで、初日は12位で好発進。予選通過を果たし、決勝では後退して72位で終わったものの、メジャーで4日間を戦い抜くことができた。

 そして迎えた今週の全米プロは2011年以来、5年ぶり3度目の出場。

「(メジャーに出るたびに)少しずつ良くなっているのかなという気がしている。1つ1つ、ステップアップしている感じ」

 その実感こそが、池田の表情を引き締めている要因の1つなのだろう。

【次ページ】 30歳になり選手会長が終わり「自分のために時間を」。

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