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リオ五輪陸上代表、10人の1991年組。
2020TOKYOは、この8月に始まるのだ。
posted2016/07/24 11:00
text by
金哲彦Tetsuhiko Kin
photograph by
AFLO SPORTS
7月13日、新たに3名が加わり、陸上競技のリオデジャネイロオリンピック日本代表47名が決まった。
日本記録より高い参加標準記録や参加資格。そんな壁に阻まれ、女子リレーなど、なかには派遣すらできない種目もある。それでも、男子短距離陣は若き精鋭たちが勢ぞろいした。
そしてリオも終わってもいないのに早急な話だが、“2020TOKYO”のことがすでに気になっている。リオの成果が4年後の東京にも密接に関わってくるからだ。
オリンピックムーブメントの提唱者ピエール・ド・クーベルタン男爵の言葉「オリンピックで重要なことは、勝つことではなく参加することである。人生で大切なのは成功することではなく、努力することである」にあるように、2020年はオリンピック開催そのものに価値と意義がある。メダルの数や成績だけにこだわるものではない。
1964年の自国開催では、実はメダルは1つだけ。
今回のリオが、遠く地球の裏側で行われることに加え、治安や健康不安もあり、現地まで応援に行くモチベーションを低くしている。それだけに、4年後目の前で繰りひろげられる興奮と感動が楽しみである。
自国開催のオリンピックは、私たちに間違いなく「生」の感動を与えてくれるはずだ。
ちなみに、前回1964年の東京五輪の陸上競技でメダルを獲得したのは、男子マラソン銅メダルの円谷幸吉のみ。入賞に広げても、同じく円谷幸吉の10000m6位、女子80mハードルの依田郁子5位のわずか2つ。
戦前のオリンピックの華々しい戦績と比べ、寂しいものだった。復興と経済成長が優先された時代、スポーツ選手強化の余裕がなかったのか。自国開催という大きなプレッシャーがあったことも間違いない。後世まで語り継がれるべき英雄である円谷選手の人生が、五輪後の故障と重圧から、自ら命を絶つという結末となったのも残念だった。