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UFCでハントvs.レスナーが実現!
4000億円買収劇に漂う格闘ロマン。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byGetty Images
posted2016/07/16 07:00
UFC200での一戦はレスナーに軍配が上がったが、ハントとの対決が実現したことこそ意義深い。
ノンタイトル戦だが注目度はタイトルマッチ以上に。
いったんWWEを離れると、レスナーは新日本プロレスにも参戦。さらに2007年には『Dynamite!! USA』でMMAデビューを果たし、UFCでも頂点に立った。獲得したタイトルはWWE世界王座、IWGPヘビー級、UFCヘビー級――つまりレスナーはスポーツ・エンターテインメントと“ストロング・スタイル”と競技化されたスポーツ格闘技のすべてにおいて最高の結果を残してきたのだ。そんなことができたのはレスナーだけだし、今後も出てこないだろう。
ノンタイトル戦だが注目度はタイトルマッチ以上、アスリート同士の闘いであると同時に“怪獣大戦争”であり、見方によってはWWEvsK-1。そんなレスナーvs.ハントは、期待以上の内容になった。
“暴れるだけではない”レスナーの判定勝ち。
先手を取ったのはレスナーだ。現在はWWEに復帰、MMAは4年半ぶりだったが、驚くほど動きが速い。タックルで金網に押し付けるとテイクダウンに成功、ハントが立ち上がっても、再びグラウンドに引きずり込んでパンチを浴びせた。
2ラウンドはハントのターンだ。右腕に力をためるような構えで圧力をかける。これまで多くの相手を沈めてきた右のパンチを狙っているのは明らか。しかし分かっていても怖いのがハントのパンチだ。何度か被弾したレスナーには、スタミナ切れの不安もあったのではないか。
しかし、この2ラウンドにも、レスナーはタックルを見せている。それもハントのパンチに対してカウンターで放つ的確なもの。結果としてディフェンスされはしたが、この時点でレスナーが“ただ暴れるだけ”の選手ではないことが伝わってきた。
最終ラウンドになると、レスナーがまたしてもペースを掴んだ。テイクダウンから相手の逃げ場を奪うような体勢でしっかりと抑え込み、肩固めを狙いつつパウンドを浴びせていく。「なんでこんなに動けるんだ!?」という驚きの中で試合は終わり、ジャッジ3者全員がレスナーを支持した。