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UFCでハントvs.レスナーが実現!
4000億円買収劇に漂う格闘ロマン。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byGetty Images
posted2016/07/16 07:00
UFC200での一戦はレスナーに軍配が上がったが、ハントとの対決が実現したことこそ意義深い。
WWEスーパースターが4年半ぶりに参戦した意義。
繰り返すが、レスナーは4年半もMMAから離れていた。今回の試合は記念大会だからこその限定参戦であり、現在の肩書きは“WWEスーパースター”。夏のビッグイベント『サマースラム』ではランディ・オートンとの大物対決がアナウンスされてもいる。しかしそんなレスナーが、MMAでもいまだに強かった。それも、UFCヘビー級ランカーにはっきりと差をつけて勝つくらい。
WWEのチャント(選手へのコール)で言うなら「You still got it=実力は健在」。パワーやスピードは衰えず、スタミナを切らさず、抑え込みやダメージの与え方に関してはテクニカルでさえあった。高阪の言葉どおり、まさにファンタジックな闘いぶりだった。
レスナーのファイトマネーは、250万ドルというMMAでは破格の金額だった。これにPPV収入からの分配など各種ボーナスも追加されているはずだ。これは言ってみれば“実力プラス幻想”についた値段だろう。幻想を裏切らなかったレスナーは、それだけの価値があると試合で証明したとも言える。
2億円で購入したUFCを15年間で4000億円で売却!
大会が終わり、週が明けると「UFC買収」のビッグニュースも飛び込んできた。2001年からUFCを運営してきたズッファ社に代わり、40億ドル、すなわち4000億円強を投じて新たなオーナーとなったのは、クリント・イーストウッドやローリング・ストーンズを擁する大手芸能&スポーツエージェントのWME-IMG。代表のデイナ・ホワイト氏は残留するだけに、方向性は変えずにスケールアップしていくということになるはずだ。新日本プロレスのオーナーである木谷高明氏は、ツイッターでUFC買収をこう表現している。
「2億円で購入した物を15年間で2000倍の4000億円で売却。世の中に新しい価値観を提供することに成功した素晴らしい例」