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リオの“隠れメダル候補”は競歩。
急成長の理由は基盤の薄さにあり?
posted2016/07/17 07:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
アテネ五輪で金、ロンドンでは銅メダルを獲得した室伏広治が第一線を退いた今、陸上競技で「メダルに最も近いのではないか」と期待を集める種目がある。男子競歩である。
20km、50kmそれぞれ3名ずつ出場するが、どちらの種目でも、上位争いのできる選手がそろっているからだ。
20kmに出場するのは今年2月の日本選手権で派遣設定記録をクリアして連覇した高橋英輝、3月の全日本競歩能美大会で優勝した松永大介、4月の日本選手権で日本歴代3位の記録で2位となった藤沢勇だ。この3人は、今年出した自己記録による世界ランキングで1位から3位を占めている。ランキング順で言えば、高橋、藤沢、松永である。
実際の成績は、大会ごとの気象条件や駆け引きなども影響するから、ランキングをそのまま鵜呑みにはできない。それでも、20kmは昨年世界新記録を出したエース格の鈴木雄介が故障により代表選考会を欠場して代表入りを逃しながら、選手層の厚さを誇っていることが分かる。
陸連の「ゴールド」指定強化4人中3人が競歩選手。
20km以上にメダルに近いとも言われるのが50kmだ。昨年の世界選手権で日本競歩初のメダルとなった銅メダルを獲得した谷井孝行、4位の荒井広宙、さらに2011年の世界選手権で6位となったことがある森岡紘一朗である。
50kmは、各選手が参加した今年の大会のコンディションなどからタイムの世界ランキング的には決して高くはないが、本来の力などを考えれば、十分上位争いができる選手たちだ。
また、日本陸上競技連盟(陸連)の指定強化の中で最も高い「ゴールド」の選手は4名いるが、そのうち3名が競歩選手であることも、これまでにあげてきた成績と期待を示している。