プレミアリーグの時間BACK NUMBER
EUに続きEURO“離脱”で悪夢の1週間。
イングランドは生まれ変われるのか?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2016/07/01 11:10
采配術に疑問の声が続出したホジソン監督は敗退後に退任を表明した。
カンテ、パイエのような有望株がプレミアに来れない?
この条件を昨季のプレミア新戦力に当てはめれば、選手補強に大きな影が落ちることになる。優勝を果たしたレスターのカウンターで起点となったエンゴロ・カンテには労働許可が下りないことになる。またマンチェスター・ユナイテッドはアントニー・マルシャルの獲得が許されず、ヨーロッパリーグ出場権すら獲得できなかったかもしれない。
上位につけたサウサンプトンとウェストハムには、それぞれ最終ラインで即戦力となったビルフィル・ファンダイクと、前線で昨季最高のプレミア新戦力とも言われたディミトリ・パイェがいなかった。2ポイント差で降格を免れたサンダーランドは、失点数減少につながった今年1月のヤン・キルヒホフ獲得を実現できなかったことになる。
ビザ取得条件の緩和を予想する声も。
そう考えれば、プレミアのクオリティ低下が危惧されても不思議ではないが、実際にはEU離脱によるダメージはさほど心配されていない。スポーツ弁護士や選手の代理人といった移籍ビジネスの専門家たちの間で、ビザ取得条件の緩和を予想する声が強いためだ。
トップクラスのサッカー選手を単なるスポーツ選手ではなく、世界的人気を誇る英国エンターテイメント業界で就労するプロフェッショナルであり、国内最高税率(45%)が適用される高額納税者として考えれば、ビザ取得条件の改訂が検討されない方が不思議に思われる。
もちろん、能力が平均レベルのEU国籍選手がプレミアにやって来るケースは減るだろう。だがこれは、長い目で見れば一概に離脱の弊害とは言い難い。その減少分は国内や自家製の若手を起用して埋めていけば良い。プレミアでは、クラブの国際的な知名度が高まる一方で、地元色の低下に淋しさを覚えているファンが多いことも事実だ。