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ラミレス監督が求める初球打ち。
桑原将志が開眼、1番固定なるか?
posted2016/06/29 07:00
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph by
Naoya Sanuki
目を疑った。
所用で球場に足を運べなかった6月24日、手にしたスマホの画面には「DeNA 9-0 巨人」の文字が浮かんでいた。巨人の先発は、防御率0点台のエース、菅野智之。回はまだ3回だった。
その段階ですでに6打点をたたき出していたのが、桑原将志(まさゆき)だ。
1回、初球をセンターに運んで出塁し、3番に入った梶谷隆幸のタイムリーで生還。
2回、1死満塁で初球を打って2点タイムリー。
3回、またも1死満塁で、またも初球を打って、左翼席へのホームラン。
たった3球で6打点を稼いだ桑原は、シーソーゲームとなった翌日の試合でも8回に決勝タイムリーを放って、連日ヒーローとなった。
ラミレス監督の経験に基づくファーストストライク打ち。
初球打ち、いや、正確を期すならばファーストストライク打ちは、ラミレス監督がチームに求める大方針のひとつだ。追い込まれてから苦しい打撃を強いられるよりは、甘いと見れば積極的に振っていく。そのほうがいい結果をもたらすということに、現役時代の自身の経験から確信をもっているようだ。
だが、早いカウントから手を出すスタイルにはリスクもある。凡打に終われば投手は球数を費やすことなくアウトを重ね、リズムに乗ってイニングをこなしていける。いわゆる“淡泊な攻撃”と批判の的にもされかねない。
今季の序盤戦、ファーストストライクを積極的に打ちにいく桑原にそのリスクについて尋ねたことがある。
「そこはもう、そんなこと考えると……。2ストライクからヒット打てればいいですけど、2ストライクまで簡単に取られて、あっけなく終わったら、その前に打つべきボールあったんじゃないのってなりますよね。ピッチャーもどんどん積極的にこられたほうが嫌だと思うし、そこを自分がちゃんとヒットにできれば、また入り方も変わってくるはず。そうなると自分に有利なカウントをつくれるということにもつながってくると思う」