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ラミレス監督が求める初球打ち。
桑原将志が開眼、1番固定なるか? 

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日比野恭三

日比野恭三Kyozo Hibino

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photograph byNaoya Sanuki

posted2016/06/29 07:00

ラミレス監督が求める初球打ち。桑原将志が開眼、1番固定なるか?<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

桑原の本塁打数は2014年、2015年とも1本ずつだったが、今季はすでに6本を放っている。飛躍の年になりそうだ。

プロ5年目。これまでは準レギュラー状態が続いていた。

 高卒5年目の桑原は、高い身体能力を武器に、一昨年のシーズンから着実に一軍での出場機会を与えられてきた。

 プロ入り後に転向した外野の守備範囲は広く、さらに、今季すでに6本塁打をマークしているように、小柄ながら長打を打てるパンチ力も魅力的だ。しかしスタメン入りは2014年が34回、2015年が22回と、なかなか準レギュラーの座から抜け出すことができずにいるのも確かだ。

 今シーズンも激しい外野手争いに揉まれてきた。73試合を終えて、先発出場は42試合。必死のアピールが続く中で飛び出したのが、菅野からの満塁弾だった。

 3連戦を2勝1敗で終えた6月26日の試合後、桑原は昨季までとの違いをこう語った。

対ピッチャーという視点。

「去年、バッティング練習では悪くないのに何で試合で打てないんだろうと。そこで考えて気づいたのが、自分のことばかり考えていて、対ピッチャーという視点を見失っていたということ。野球はピッチャー主導で、バッターがピッチャーに合わせないといけないスポーツですからね。相手のピッチャーに対して、どうタイミングをとるか、どこに狙い球を絞るか、そういうことを意識するようになりました」

 意識の矛先を自分自身ではなく、相手投手に向ける――。では球界屈指の好投手、菅野を前にして桑原は何を思ったのか。

「いいピッチャーなので、追い込まれたらいろんなボールで勝負される。その前にストライクを取りにくるボールを振っていかないと厳しいかな、と」

 チームの大方針と、桑原が導き出した攻略法は合致した。淡泊さというリスクを背負った積極打法は、この試合では最高の結果をもたらした。

【次ページ】 今季のDeNAではすでに9人が1番打者を務めている。

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