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リオで勝つための課題を洗い出し。
バレー女子、五輪直前のワールドGP。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byBuda Mendes/Getty Images
posted2016/06/23 17:00
古賀紗理那は現在20歳の若手だが、高校2年だった2013年に代表初招集されてからすでに4年目。その攻撃力はチームに不可欠だ。
荒木にトスが上がらない場面が目立っていた。
試合やセット序盤のクイックは、たとえ決まらなくてもチームが受けるダメージは少ない。それでも、OQTでは荒木に上げることができない場面が目立った。
荒木も「わたしがもっと決めて、助けられればよかった」と、やはりOQTの最後の会見で悔やんだが、何度も全力で助走する荒木の姿を見て、トスが上がらずに残念に思ったシーンが幾度もあった。
たとえ決まらなくても、クイックを相手の守備陣に刷り込むことができれば、その攻撃は“成功”とも言える。終盤に向けての布石となるからだ。特に長岡望悠、迫田さおりのセンターからのバックアタックを武器とする日本にとっては、荒木がブロードを見せることで、相手ブロックはサイドに意識が行き、そのあとの後衛中央からのバックアタックは決まりやすくなる。
ベンチが責任を負えば、トスを上げやすくなる。
ただし、クイックの打数はセッターとミドルブロッカーだけの責任ではない。チームの戦略として首脳陣がもっと明確に指示を出すべきである。ベンチが全責任を負えば、セッターは思い切ってトスを上げやすくなり、アタッカーも自責の念にとらわれることはない。
「OQTに関しては結果が求められる大会。以前の世界選手権やワールドカップのように“次につなげる”などと言っている場合じゃない大会なので、何が何でも切符は欲しかったし、結果を出したかった」(宮下)
結果を求めるべきOQTだったから使えなかったと推測すれば、ワールドグランプリこそさまざまな攻撃にチャレンジできる好機ではないか。
ワールドグランプリの第2週まではセッターは宮下、田代佳奈美の併用で、宮下と荒木が同時にコートに立つ場面が少なかった。第3週ではどのような組み合わせで試合に臨むのか注目していきたい。