熱血指揮官の「湘南、かく戦えり」BACK NUMBER
「プレッシャーのない仕事などない」
最下位・湘南の曹監督、奮起の言葉。
text by
曹貴裁Cho Kwi-Jae
photograph byShonan Bellmare
posted2016/05/18 12:00
攻撃の形は試合を重ねるにしたがって良くなっている――あとは、僅差での負けを勝ちに変える最後のひと押しなのだが……。
攻撃の良さがこれまでになく多く出たのだが……。
<試合結果>
5月14日(土)J1・1stステージ第12節
湘南0-1福岡
(@レベルファイブスタジアム)
負けた方が最下位という一戦を優勢に進めたのは湘南。たびたびCKを獲得するなど好機をつくったが、スコアレスのまま試合は終盤へ。すると81分、カウンターから一気に攻め込んだ福岡が先制。結局この1点が決勝点となり、湘南は痛い星を落とした。
<試合を終えて>
――福岡戦ではチャンスはつくりながらも無得点でした。
「攻撃面でのやりたいことを整理して臨んだことで、攻撃での良さがここ3試合よりもたくさん出た試合となった。FC東京戦までの3試合は全体のパス数のうち縦パスの1試合平均が100本だったのに対し、福岡戦は前半だけで100本くらいとなっていたから、横や後ろに行くパスが特に前半はほとんどなかった。相手に間延びした感じがあったことも理由だとは思うが、ゲームを通じて選手にそういう意識があり、点を取られた後もチャンスを作ろうという意思が見えたことは成果だと思っている。もちろん順位の近い相手に負けた後に成果を語るのはおこがましいけれども、我々は勝点3に向かって、勝とうが負けようが日々自分たちの突き詰めるべきものに取り組んでいかなければいけない、と試合後に選手にも話した」
――最下位となったことで、選手たちの心理に何か影響は出るものですか。
「やはりこの順位にいることで、どんなに楽しんでやろうと思っても選手はプレッシャーを感じてプレーしている。
いつもなら入れられるシュート、ボールコントロール、練習なら何の苦もなくやれることが試合になると1mm、1cmずれてしまう。ただ、プレッシャーのないスポーツは、余暇でやるものを除けば存在しないと思っている。アマチュアリーグでも上のカテゴリを目指してやれば当然それを感じながらプレーするだろうし、もっと言えばプレッシャーのない仕事というものは存在しない。
たまたまサッカーの試合はたくさんのお客さんに見られていて、公共の電波で映るという、自分が世に晒されているという点でビビッドに感じるけれど、一企業においても重要な案件を決める時や、プレゼンテーションするときは必ずプレッシャーを感じるもの。だから人間生きていれば必ずプレッシャーを感じていく。そこに対して一番やってはいけないのが『俺はプレッシャー感じてないよ。気楽にやるよ』と言って逃げてしまうこと。
そのプレッシャーを正面から受け止めて、逆に楽しみ、受け入れた上で、プレーに一喜一憂せずにやるべきことをやろうと思える。そういうチームが本当に強いチームだと思う。その点、我々は2回勝った後に2回負けているということは、まだまだ未熟なんだと情けなくも思う」