熱血指揮官の「湘南、かく戦えり」BACK NUMBER
「プレッシャーのない仕事などない」
最下位・湘南の曹監督、奮起の言葉。
text by
曹貴裁Cho Kwi-Jae
photograph byShonan Bellmare
posted2016/05/18 12:00
攻撃の形は試合を重ねるにしたがって良くなっている――あとは、僅差での負けを勝ちに変える最後のひと押しなのだが……。
「僕も選手も下を向いている人間は誰もいない」
――1stステージは残り5節。あくまで、これまでのスタイルを貫いていきますか。
「どんなことをやっても勝てば良い、スタイルを捨ててでも勝つことが大事だという考えは人によってはあると思うし、正論だとも思うが、自分たちが成長を感じながらやるサッカーに色付けをしていき、その上で見ているサポーターの方々に喜んでもらえるサッカーをする、その根底を変えることは自分たちにおいて大きな打撃のあることだと僕は強く感じている。だから選手がプレッシャーに積極的に向き合い、互いのミスを全員でカバーしていく空気を作ることが今の僕らに求められている最大のミッションだと思っている。
課題はまだまだあるものの、決して後ろには向かっていない。
ただ前に向かう中でもプレッシャーを感じそれが少し斜めにずれたり、横に行ったりすることもある。でもそこで自分たちが挑戦することをやめることは、チームとしては一番の悪なんだということを、僕は指導者として声を大にして選手に伝えていきたい」
――サポーターに対する思いは?
「残り5試合を全部勝てば去年の1stの勝点を1上回る位置にいるのだから、変わらず前を向いてやっていこうと思う。このコラムを書いている中で、なかなか勝てていないことに心配をしてくださる方もいらっしゃるけど、僕も選手も下を向いている人間は誰もいない。むしろ前を向きすぎて、プレッシャーを感じすぎている選手がいるとすれば、それは僕がコントロールしなくちゃいけない。また次の試合、選手がどんなふうに躍動し、どんなプレーを披露するかみなさんにも注目してもらいたい。僕たちはまだまだ未熟ながらも前を向くパワーは失わないで、ナビスコの鹿島戦、そしてリーグの仙台戦に向かっていきたいと思う」
(構成:日比野恭三)