フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
宇野昌磨、フィギュア史に名を刻む。
史上初4回転フリップ成功の意義。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2016/04/25 14:50
4回転フリップを成功させたとはいえ、本人としては「まだまだ点は伸びると思う」とまったく満足していない様子。
自身初となる、SP100点超え!
宇野はSPの冒頭でいきなり4フリップに挑み、きわどい角度ながらも鋭いカーブを描いて着氷。その後、後半で4+3トウループ、3アクセルを成功させて、この大会の性質上ISUの記録には正式登録されないものの、自己ベストスコアの105.74を出した。国際ジャッジの採点によるSP100点超えは宇野が史上3人目となり、得点的には羽生結弦の記録に次ぐ高いスコアである。
「(4回転フリップを)SPとFSでどちらかで決めたい気持ちでこの大会に挑んでいました。世界選手権で納得のいかない演技で悔しい思いでしたが、帰国後、気分転換と来シーズンの準備を兼ねて4回転フリップの練習を始めたのが良かったです」とコメントした宇野。
ボストン世界選手権では、フリーで転倒をして悔し泣きをした後で、「来季は4フリップに挑戦する」と宣言していたが、わずか3週間後に試合で成功させてしまうとは、誰も予想していなかった。
フリーでも4フリップに成功し、200点超えも視野に。
宇野は翌日4月23日に行われたフリープログラムでも冒頭で4フリップを成功させ、さらに4トウループを2度、合計3度の4回転を降りた。4トウループの着氷は多少乱れたものの、192.92とISUに正式登録されている自己ベストスコアを上回る数値を出した。
「今大会でSPとFSの両方で(4フリップを)入れられたことは自信にもなりました。フリーに関しては一度やってみたい構成に挑戦できたので良かったです」
ここではトウループの着氷が乱れてしまったが、全てクリーンに着氷すれば200点を超えることも十分に可能であることが予測できる。
「この1年は色々な変化もあって長く感じました」
とてもシニアデビューだとは思えない、ドラマチックな1シーズンを振り返ってそう感想をもらした宇野昌磨。
「苦しく辛いこともあったけれど、攻める姿勢を忘れずにできたのが良かったのかなと思います。今大会は良い形で終わりましたが、世界選手権の悔しさは忘れてはいけないと思うので、シーズンオフにしかできない事に挑戦し、ジャンプももちろん大切ですが、演技力をしっかり身に着けて2年目のシーズンに向けて準備していきたいと思います」と、すでに視線は来シーズンに向いている。