フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
宇野昌磨、フィギュア史に名を刻む。
史上初4回転フリップ成功の意義。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2016/04/25 14:50
4回転フリップを成功させたとはいえ、本人としては「まだまだ点は伸びると思う」とまったく満足していない様子。
劇的に進化している、過度期にあたる男子シングル。
私たちは今、男子シングルの過度期を目撃している。
2015年11月に羽生結弦がNHK杯で出した歴代最高スコアを皮切りとして、スケートの記録が急激に進化し始めた。12月のGPファイナルで再び歴代最高スコアを更新し、ほとんど異次元にいってしまった羽生に続けとばかりに、多くのトップ選手たちがプログラムの難易度のアップグレードをはかってきたのである。
中国のボーヤン・ジンは、4回転ルッツのコンビネーションジャンプと、国際試合初となるフリーで4度の4回転に成功という2つの世界新記録を作った。
そしてシーズン最後になって新たな記録となった、宇野の4フリップ。
わずか1シーズンの間に、ここまでレベルがプッシュアップされていくというのは、めったに起きることではない。
スポーツはこうして発達していくのか、というプロセスを私たちは今、幸運にも目撃させてもらっているのだ。
怪我にだけは気をつけてもらいたいと願いながらも、来季の戦いが今から楽しみなシーズンの締めくくりとなった。