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「ダメなカットがほとんどない」
カメラマンが語る羽生結弦撮影秘話。

posted2016/04/18 07:00

 
「ダメなカットがほとんどない」カメラマンが語る羽生結弦撮影秘話。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

特集冒頭の写真。撮影時には、「SEIMEI」冒頭のように「指2本にしたくなるよね」と笑いを誘う場面も。

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Number編集部

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Asami Enomoto

 大谷翔平、萩野公介、藤浪晋太郎……。「Number900号」では、各スポーツジャンルで大活躍している、1994年生まれのアスリートたちを特集している。表紙は、その最強世代の中心であるフィギュアスケートの羽生結弦選手。顔の前で指を組み、じっと深くこちらを見つめる絶対王者――。果たしてこの表紙写真はどのように撮られたのか? その「撮影秘話」を大公開する!

 撮影を担当したのは小社カメラマンの榎本麻美(あさみ)。一昨年末に羽生選手が「ナンバーMVP」を獲得した際の表紙写真(Number868号)や、昨年12月のグランプリファイナル後のフィギュアスケート特集号「Number892号」でも、羽生選手がハイドロブレーディングしている写真を撮り、表紙を飾った。

 インタビューと撮影が行われたのは、4月3日の夕方、ボストンで行われた世界選手権のエキシビション終了後。試合会場近くのホテルの一室で各メディアの個別取材に応えたのだ。

インタビュアーやカメラマンへの細かな気配り。

 インタビュールームに現われた羽生選手は試合後の疲れも見せず、一つ一つの質問に丁寧に答えていたという。しかも時間が非常に限られていたため、インタビュアーが少しでも多く質問できるように、あえて「早口」で質問に答えていたそうだ。こういう細かな配慮や気配りが、氷上の表現力にも繋がっているのかもしれない。

 世界選手権では銀メダルに終わったが、決してその悔しさを態度ににじませない。だが、インタビューを行ったライターの野口美惠さんが少しずつ、「なぜフリーで崩れてしまったのか」に迫っていくと、最後には、国際大会で2試合連続で世界最高点を更新した羽生であるからこそ見えた「最後のテーマ」について明かしたのだった。

 インタビューを終えて、次は撮影に。

 「ストロボはこっちから来るんですね」と羽生選手自ら光の位置を確認する。「知的でスマートな感じでお願いします」と撮影の意図を伝えると、さっと状況を理解し、真面目な表情を作る。今回の表紙にもなった、指を前に組んだ格好や腕組みをしてもらう。

【次ページ】 「あの“叫び”の再現を」という注文には……。

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