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外国人監督は日本バレーを変えるか。
初優勝、豊田合成の“コンセプト”。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2016/04/17 10:30
クリスティアンソン・アンデッシュ監督は結果よりも過程を大事にする。全ての要求には理由があるのだ。
「日本は世界をリードしていたのにステイしてしまった」
ただ、チームの打数の5~6割程をイゴール1人が打つ攻撃スタイルについては賛否両論ある。イゴールの卓越した攻撃力を最大限にいかした役割分担と言ってしまえばそうなのだが、豊田合成の選手自身もそれがベストだとは思っていない。主将でリベロの古賀幸一郎は、ファイナルラウンド中にこう語っていた。
「僕らはどうしてもイゴールに攻撃が偏るので、もっと貪欲に『自分のところに持ってこい』とトスを欲しがる選手が出てきてくれれば、チームもいっそう活性化されて、より成熟していくんじゃないかと感じています」
そのあたりが今後のチームの伸びしろになりそうだ。
アンデッシュ監督は、選手にだけでなく、日本バレーに対しても時に辛辣な言葉を浴びせる。「私が若い頃、日本は世界のバレー界をリードしていたのに、そこにステイしてしまった」というのは口癖だ。
今季のリーグでは、昨年のワールドカップで活躍した全日本選手ばかりにメディアが集まることに対し、何度か不満をあらわにした。バレーの内容よりも、華やかな代表選手ばかりが注目される日本バレー界の現状にいらだっているように見えた。
「日本は新しい考え方にオープンになるべき」
パナソニックパンサーズを破ったファイナル後の記者会見で、アンデッシュ監督は「最後に一言」と、自らこう付け加えた。
「パナソニックファンの方も他のチームのファンの方もいると思いますが、今までファイナルに行ったことのなかったチームが、新しいアイデアを持って取り組んで、初めて優勝に輝いたということを皆さんに喜んでいただきたい。日本は新しい練習方法や新しいプレー方法、そして新しい考え方にオープンになるべきだと思います」
自身のバレーボールに絶対の自信を持ちながらも、どこかでアウェイ感を感じ続けていたのだろうか。「もっとバレーの中味を見て欲しい」。そう訴えているように聞こえた。