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外国人監督は日本バレーを変えるか。
初優勝、豊田合成の“コンセプト”。

posted2016/04/17 10:30

 
外国人監督は日本バレーを変えるか。初優勝、豊田合成の“コンセプト”。<Number Web> photograph by Kyodo News

クリスティアンソン・アンデッシュ監督は結果よりも過程を大事にする。全ての要求には理由があるのだ。

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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Kyodo News

 2015-16シーズンのV・プレミアリーグ男子は、豊田合成トレフェルサが1961年の創部以来初の優勝を果たして幕を閉じた。

 4位が最高順位だったチームを、昨季の3位、そして今季の優勝へと導いたのは、スウェーデン出身のクリスティアンソン・アンデッシュ監督だ。

 アンデッシュ監督は、代表選手としてプレーした後に指導者となり、母国を1988年ソウル五輪で初の五輪出場、そして7位入賞に導いた。その後イタリアやギリシャ、ベルギーのリーグで監督を歴任。ベルギーのノリコ・マザイクを欧州チャンピオンズリーグで2度の準優勝に導いた。

 経験豊富な名将の言葉と哲学には、下位が定位置だった豊田合成をガラリと変える力があった。

絶対に守られなければならない“コンセプト”。

 目から鱗が落ちたアンデッシュ監督の言葉がある。

「キルブロック(ブロックポイント)は、悪いアタッカーが生み出すものだ」

 試合の中でブロックポイントが生まれると、どうしてもブロッカーの方に目がいきがちだ。しかしアンデッシュ監督のバレー哲学では、ブロックポイントは、ブロッカーが優れていたのではなく、「アタッカーが間違ったコースに打ったミスだ」ということになる。ミスを嫌うアンデッシュ監督が、試合中にブロックされた選手に顔を真っ赤にして詰め寄る姿がリンクする。

 アンデッシュのバレーには、絶対にやってはいけないことや、守らなければならない約束事がある。それを豊田合成では“コンセプト”と呼ぶ。

 たとえば、サイドからスパイクを打つ際には、まずブロックアウトを狙うのが最優先だ。その次の選択肢として、ブロックの間を抜く。3つ目に、コートの角を狙う。リバウンドを取るのは最終手段だ。他にも細かいコンセプトが数多く存在する。

「ネットにかかるサーブミスは絶対にしてはいけない」

「ブロックは流れたりせず、たとえ遅れてもまっすぐに跳ぶ」

 そういった、基本的なことだけれど大切な数々のコンセプトを、監督は選手の耳にたこができるほど言い続けた。コンセプトが守られていなければ、試合中も練習中も容赦なく怒鳴る。

【次ページ】 誰にでも態度を変えない真摯さで、慕われてもいる。

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