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「テクニックという言葉は使わない」
オランダ発、サッカー再定義の潮流。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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posted2016/04/11 10:30

「テクニックという言葉は使わない」オランダ発、サッカー再定義の潮流。<Number Web> photograph by Getty Images

オランダサッカー協会のテクニカルマネージャーのフースは国外から学ぶと宣言した。

プレーのどの要素が悪かったかを徹底的に議論する。

 技術と言ってしまうと何を示しているかわからないが、アクションをメイン(動作)とサポート(判断)に分け、さらに動作を4つの視点でチェックすることで、より具体的な議論が可能になる。

 たとえばパスがカットされたなら、パスを出したときのポジショニング、パスを出した方向、タイミング、パススピードのどれが悪かったかを問う。そうすれば改善点がよりクリアになるだろう。「技術が足りませんね」というのではなく「パスを出すタイミングが遅れましたね」という感じだ。

 そもそもパスを選んだことは正しかったのか、という「判断」については、サポートアクションのサッカーインサイトの問題として別テーマとして扱われる。とにかく、できるだけ曖昧さをなくして細かく因数分解するのがオランダの新流儀だ。

再びオランダからムーブメントは起きるか。

 サッカーは直感的なスポーツであり、言葉の厳密さにこだわりすぎると、プレーが機械的になってしまうのではないか、という心配もある。だが、すでにピリオダイゼーションを提唱するフェルハイエンがコンディションにおけるサッカー用語を再定義して成功しており(詳しくは過去のコラムを参照)、そのプレー版の試みも同じように革命を起こせるかもしれない。

 白井は言った。

「オランダ人には育成のモデルを作ったという自負があり、誰よりも前に進んでいたいというプライドがある。近い将来、必ず成果が出ると思います」

 オランダは国土の多くを干拓地を占め、作家の司馬遼太郎は「世界は神がつくり給うたが、オランダだけはオランダ人がつくった」と表現した。そして故クライフは「トータル・フットボール」を創造した。もう1度、オランダからムーブメントが起きても不思議ではない。

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