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「テクニックという言葉は使わない」
オランダ発、サッカー再定義の潮流。 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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posted2016/04/11 10:30

「テクニックという言葉は使わない」オランダ発、サッカー再定義の潮流。<Number Web> photograph by Getty Images

オランダサッカー協会のテクニカルマネージャーのフースは国外から学ぶと宣言した。

どん底でパイオニア精神を取り戻したオランダ。

 しかし、どん底に突き落とされたことで、オランダはパイオニア精神を取り戻した。どこにもないサッカーを目指し、「オランダ・フットボールスクール2.0」という名のプロジェクトをスタートさせた。

 実は以前からオランダでは、すでに一部のグループが中心となって、サッカーの再定義が始まっていた。

 その中心人物は、アムステルダム自由大学で人体運動学を研究していたヤン・タンブール(1944年生まれ)、KNVBでテクニカルマネージャーを務めていたベルト・ファン・リンゲン(1945年生まれ)、そしてコンディショニングコーチのレイモンド・フェルハイエン(1971年生まれ)だ。

 2004年、タンブールが主著者となって『フットボール・セオリー』という本を出版し、その中で「フットボール・アクション・アナリシス・モデル」を提唱した。サッカーの指導における曖昧さを排除するために、まずはサッカー用語を厳密に定義しようという試みだ。

アヤックスでアナリストを務める白井裕之。

 アヤックス育成アカデミーのユース年代専属アナリスト・白井裕之は、この理論に魅了されたひとりだ。24歳のときにオランダに渡って2011年からアヤックスのアマチュアチームのコーチを務め、指導者として階段を上がって行く中で「フットボール・アクション・アナリシス・モデル」に出会った。

 今ではこの理論を元に、独自の分析システム(ピッチを3つに分け、それぞれのエリアでの攻・守・切り替えを分析する“白井式フィルター分析”。詳しくは以下のサイトを参照: http://www.e-3shop.com/socceranalytics/)を作り上げ、オランダ国内でも注目されている。

 白井は「フットボール・アクション・アナリシス・モデル」をこう解説する。

「サッカーの世界ではいろいろな用語が使われていますが、ひとつの言葉に対して各自の解釈が違っているときがある。そうなると監督が選手に指示をしても、理解に差が出てしまいますよね。もし言葉を統一すれば、わかりやすく、伝わるスピードが上がり、誤解も少なくなる。現在、KNVBの指導者講習はこの理論に基づいて行われています」

【次ページ】 「テクニック」という言葉の曖昧さを排除。

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