“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
課題を発見し、解消するという能力。
岡崎と金崎の恩師が語る2人の強さ。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byAsami Enomoto
posted2016/03/29 07:00
3月24日、アフガニスタン戦はそれぞれ1得点。初めて組んだコンビだが息のあったプレーを見せた。
必ず、食い入るように映像チェック。
「慎司は自分の試合のビデオで、自分が失敗したシュートシーンを何回も見返して分析をしていた。だからこそ、日々の練習も高い目的意識を持って取り組むことができていた。『凄いな』と思っていたけど、夢生も同じで、自分が出た試合のビデオは必ず見返していた。
印象に残っているのが、遠征や試合帰りのバスで、僕が運転をしているときにその日の試合のビデオを流すのですが、夢生は必ず前にいて、食い入るように観ていた。他の選手達はみんな疲れて寝ているのに、一人でじっと観ていた。時にはバスに乗り込む時、自分でさっさとビデオを繋げて試合の映像を流して観ていたこともあった」
2人に共通するのはストイックさだけではない。プラス思考も共通の「良さ」である。課題発見能力と課題解消能力は、ネガティブ思考では持ち得ない。自らの課題を「伸びシロ」と捉え、解消するために努力をする過程でモチベーションとなるのが、「これができたら必ず成長する」という確信。プラス思考がこの好循環を生み出す。
失敗を引きずらず、トレーニングで修正して試合に臨む。
「2人とも誰よりもボールを触りたい人間で、練習が本当に好きだった。毎回の練習を消化不良に終わらせないように、トレーニングの中で人一倍、意欲的に励む姿は印象的でした。プラス思考でいつまでも失敗を引きずらず、トレーニングで修正して試合に持っていく、それの繰り返しでした」
この循環は今も変わらず続いている。しかも着実にそのステージを上げながら。金崎は大分、名古屋を経てポルトガルに渡り、さらにゴールへの意欲を向上させ、鹿島でエースストライカーの座を張っている。岡崎は説明不要で、プレミアリーグ首位をひた走るレスターで躍動を見せている。それぞれのステージでストライカーとして躍動を見せる彼らが、日本代表でコンビを組むことは必然のことだった。
それは昨年末のことだった。金崎と小森、黒田の3人で食事をしたとき、黒田は教え子にこう想いを伝えたという。
「日本代表で慎司が9番、夢生が6番を付けたら、『96=クロ』になるね。それを見てみたい」