“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
課題を発見し、解消するという能力。
岡崎と金崎の恩師が語る2人の強さ。
posted2016/03/29 07:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Asami Enomoto
怯まず、驕らず、溌剌と――。
これは兵庫の名門・滝川第二高校サッカー部のモットーだ。
この言葉の生みの親は、滝川第二高校を強豪校に仕立てた黒田和生元監督(現・チャイニーズタイペイ協会ユース育成統括/U-13・U-18代表監督)。24日に行われた、ロシアW杯アジア2次予選のアフガニスタン戦で、この黒田の言葉を胸に刻んだ2人の教え子が、大きく躍動をした。
岡崎慎司と金崎夢生。
滝川第二の先輩後輩の間柄である2人が、日本代表のツートップを組み、日本の攻撃を牽引した。
「一番喜んでいるのは、黒田監督じゃないですか」
試合後のミックスゾーンで岡崎が笑顔で語ったように、名将が彼らに植え付けた萌芽が、着実に彼らの中で成長し、日本代表という最高峰の舞台で共演を見せた。
良い関係を築くツートップ。
この2人の躍動に目を細めるのは、黒田だけではなかった。かつて滝川第二高校で10年間コーチを務め、現在は姉妹校である滝川高校サッカー部監督を務める小森康宏だ。小森は岡崎、金崎の滝川第二での3年間を指導しており、より身近な存在だった。高校時代を思い出しながら、小森はアフガニスタン戦を観ていたが、すぐにあることに気がついた。
「2人は学年一つ空いている(岡崎が3年時、金崎は1年)のに、お互い感じ合ってやっているなと思った。2人ともゴールを狙うことが前提のFWで、最初は慎司がガンガン前に行くかなと思ったら、夢生の方が行っていた。慎司が作ったスペースに夢生が飛び込むシーンが何回かあった。良い関係を築きながらツートップをやっているなと思った」
ゴールへの意欲は十分の2人だが、バランスを取る役割を担ったのは岡崎の方だった。ゴールを欲し、積極果敢に裏に抜けたり縦に仕掛けたりしようとする金崎に対し、岡崎はサイドに流れたり、相手のCBとサイドバックの間のスペースを突いてCBを引きつけたり、クサビを受けるために落ちたりと、金崎が飛び込めるスペースを作り出し、よりゴールに向かって前向きにプレーさせる動きを見せた。