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東京マラソン9連覇、パラ五輪7度目!
土田和歌子、勝因は“いつも通り”。
posted2016/03/06 10:30
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
YUTAKA/AFLO SPORT
10回目を迎えたレースで達成した9度目の優勝は、7度目の大舞台出場を決める、記念すべき勝利となった。
2月28日、東京マラソンが開催された。フルマラソンや10kmなど、さまざまなレースが行なわれる中、車いすマラソンの女子を制したのは土田和歌子だった。
東京マラソンがスタートして10周年を迎えた今大会から国際化され、海外の強豪選手が参加。また、リオデジャネイロパラリンピックの代表選考大会として指定された4大会の1つでもある。内定を得るには、女子の場合、
・総合3位以内
・日本人でトップ
・1時間46分0秒以内
この3つの条件が課せられていた。
世界トップ選手と数cmの攻防。
重みの加わった大会で、女子は「女王」とも称されるタチアナ・マクファーデンに、土田がどのような勝負を見せるかがみどころの1つだった。マクファーデンは、2015年のボストンマラソン、ロンドンマラソン兼世界選手権、シカゴマラソン、ニューヨークシティマラソンを制しているように、まさに世界のトップ選手。
レースは、序盤からマクファーデンと土田が先頭争いを続ける。15km付近では3秒の差をマクファーデンにつけられるが挽回。終盤までローテーション(風をよけるために先頭を交代すること)しながら、両者は譲らない。ときに、数cmも隙間がないのでは、というほどの接近戦が繰り広げられる。
勝負が決したのは、41.27km付近だった。
「ここしかない、と瞬時に判断しました」
土田はレース後に振り返っているが、上りが終わって下りとなったところで、後方にぴたりとつけていた土田が前に出るとスパート。マクファーデンを置き去りにする。