スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
ダルビッシュ有と同世代の復活組。
~トミー・ジョン手術の安全性は~
posted2016/02/27 10:30
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Getty Images
ダルビッシュ有が順調に回復しているようだ。新聞の報道を見ると、ゆるい傾斜のついたマウンドからの投球もすでにはじめているらしい。もちろん、まだまだ「馴らし運転」の段階だろうが、7月ごろと予想されていた復帰の時期が、5月下旬あたりに前倒しされる可能性もあるのではないか。
ま、あれだけの大器だから、復活を焦ることはないと思う。トミー・ジョン手術を受けたのが2015年3月ということは、まだ1年しか経っていない。そういえば、同じ時期に手術を受けた投手はほかにもいた。レッズのホーマー・ベイリーや、レイズのアレックス・カッブがお仲間だった。
成績は似ているが、奪三振率ではダルがダントツ。
3人は、年齢が近い。2012年から2014年にかけての投球回数や成績にも相通じるところがある。
ダルビッシュ('86年生まれ)
2012年:投球回数=191回3分の1、16勝9敗、防御率=3.90
2013年:投球回数=209回3分の2、13勝9敗、防御率=2.83
2014年:投球回数=144回3分の1、10勝7敗、防御率=3.06
ベイリー('86年生まれ)
2012年:投球回数=208回、13勝10敗、防御率=3.68
2013年:投球回数=209回、11勝12敗、防御率=3.49
2014年:投球回数=145回3分の2、9勝5敗、防御率=3.71
カッブ('87年生まれ)
2012年:投球回数=136回3分の1、11勝9敗、防御率=4.03
2013年:投球回数=143回3分の1、11勝3敗、防御率=2.76
2014年:投球回数=166回3分の1、10勝9敗、防御率=2.87
3人とも、なかなか立派な成績を残しているが、9回あたりの三振奪取率でいうと、ダルビッシュが飛び抜けている。ベイリーもカッブも7.8前後の平均値にとどまっているのに対し、ダルビッシュは11.2というハイスコアを叩き出したのだ。'14年開幕前の彼がサイ・ヤング賞の最有力候補に挙げられたのは、この「圧倒的インパクト」によるものだった。裏を返せば、肘にかかる負担がそれだけ大きかったことにもなるのだが。