畠山健介のHatake's roomBACK NUMBER
「オフはゆっくり」のはずだった!?
畠山健介、英国ラグビー挑戦を語る。
text by
畠山健介Kensuke Hatakeyama
photograph byKensuke Hatakeyama
posted2016/02/19 10:50
ファルコンズのロッカールームで。デビュー戦となる2月12日のレスター戦では白星を飾った。日本人のプレミアシップ出場は岩渕健輔以来2人目。
英国挑戦の決め手は……。
契約交渉に関して、選手は素人だ。プロスポーツの世界では、エージェントに任せた方が契約の話はスムーズに進む。エージェントから僕には、大まかに2点の話をしてもらった。
まずは「契約期間」。
英国のラグビーリーグ「プレミアシップ」は12チームのホーム&アウェーに加え(22試合)、上位4チームはプレーオフに進み(最大3試合)、その合間にヨーロッパでの大会もあり、日本のトップリーグの試合数を大幅に上回る過酷なリーグだ。
ラグビーのスタイルは、いわゆる“ヨーロッパ式”で、フォワードのスクラム、モールなどのプレーが多く、反則からクイックではあまり仕掛けず、手堅くペナルティショットで3点を刻む、スローテンポな試合運びが主流だ。
レギュラーシーズンは9月から翌年5月中旬まで。プレーオフに進出すれば5月末までとなるが、僕が話をもらったのが1月上旬、契約はトップリーグ終了後の1月末から5月上旬の「3カ月」という期間。長くても3カ月という具体的な数字が、僕の英国挑戦の決め手となった。スーパーラグビーでプレーしていれば、2月末から始まり7、8月までの長いシーズンになる。さらにそこからトップリーグの開幕を控える「プレミアでの3カ月」と限られた期間であることが、僕にとってはベストだった。
ヨーロッパで重要視されているPRというポジション。
次に「チーム」。
サンウルブズ以外のスーパーラグビーから1チーム、プレミアシップの3チームからオファーがあった。ただし、「畠山健介」を欲したわけではない。その4チームとも、「PR(プロップ)」を探していた。
PRとはスクラムの前列で組む1番と3番の重量級の選手。体重があるため動きが重く、体力も少なく、スクラム以外は取り柄がないというイメージが日本では一般的だった。近年は「動けるPR」も多く、ネガティブなイメージは薄れつつあるが、バックスに比べると人気はあまりない。
しかし、ヨーロッパでは、PRというポジションの重要性が確立されている。ヨーロッパではスクラムやモールが多いため、フォワードの消耗が激しい。その中でPRはスクラムでの役割が大きく、ヨーロッパでは重要なポジションとして人気もあるという。そしてPRというポジションは、スペアタイヤのように、どのチームもストックが必要なのだ。