詳説日本野球研究BACK NUMBER
奪三振率と与四球率がキーレコード。
前年の成績でブレーク投手がわかる。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNanae Suzuki
posted2016/02/20 10:30
今よりも一回り細かった1年目の藤浪晋太郎。2000年以降、高卒新人の10勝は田中将大と2人しか達成していない。
軒並み奪三振率が高い、一流投手たち。
ここで、一線級の投手がどのようなプロセスを経て高みに到達したのか見ていくことにする。初めて一軍で40回以上投げる前年、彼らはファームでどのような成績だったのか。前で書いたように新人年に40回以上投げた投手は話に出てこない。
藤川球児(阪神)65.1回、4勝3敗、防御率3.58、与四球率2.34、奪三振率6.61
内海哲也(巨人)129回、 9勝5敗、防御率3.00、与四球率3.91、奪三振率6.77
成瀬善久(当時ロッテ)56.2回、2勝3敗、防御率3.49、与四球率2.06、奪三振率7.46
金子千尋(オリックス)23回、2勝1敗、防御率3.13、与四球率1.57、奪三振率9.78
前田健太(広島)103.2回、5勝8敗、防御率3.99、与四球率2.26、奪三振率4.69
吉見一起(中日)83.1回、 5勝6敗、防御率2.92、与四球率1.73、奪三振率6.70
山口鉄也(巨人)19.2回、1勝1敗、防御率1.37、与四球率1.83、奪三振率10.07
西 勇輝(オリックス)72.1回、1勝3敗、防御率2.61、与四球率2.36、奪三振率7.47
大野雄大(中日)44.2回、3勝1敗、防御率4.84、与四球率3.02、奪三振率7.05
西野勇士(ロッテ)32回、1勝2敗、防御率3.94、与四球率1.97、奪三振率8.72
三振には、キレのある直球と変化球が必要。
前田以外は全員奪三振率が6以上である。三振を取るには、キレのあるストレートと変化球を持っている必要がある。そして、そういう投手がのちに一流になることができるのだと、彼らの数字は物語っている。
投手に関しては、プロ入りする以前からそういうボールを持っている投手も少なくない。ファーム育ちとの割合はおおよそ半々くらいだろうか。
それでは、現時点で芽が出ていないが、今後一流への道を駆け上がっていきそうな選手は誰なのか。昨年まで1回も40回以上投げたシーズンがなく、なおかつ昨年ファームで奪三振率が6を超え、できれば与四球率が3点台で収まっている投手たち。25歳までに絞って一挙に紹介しよう。