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U-23の、エースというよりキーマン。
中島翔哉という無尽蔵の10番。 

text by

佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2016/01/30 10:30

U-23の、エースというよりキーマン。中島翔哉という無尽蔵の10番。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

164cm、64kg。小さな体のハンデは、図抜けたスタミナとクイックネスで補うのだ。

延長に入って、むしろギアが上がったような動き。

「以前は1、2点取って満足していましたが、最近はまったく満足できないですね。1試合10点ぐらい取れば満足できるかなと思うけど、そういうとみんな笑うんですよ。でも、僕は本気で毎試合それをめざしています。10点取るということは、最低10本はシュートを打たないといけない。そのくらいの意識でプレーすることが大事だと思っています」

 ゴールに対して、ここまで高い意識を持ってプレーしている選手はなかなかいないだろう。しかしイラン戦での2ゴールは、だからこそ生まれたとも言える。

 また、イラン戦で観る者をさらに驚かせたのが、無尽蔵のスタミナだ。イランの選手たちは延長戦に入るとガクンと運動量が落ちたが、中島は逆にギアが上がったように走りつづけた。それはもちろん今大会で身に着けたものではなく、普段の練習によって培ったものだ。練習といってもチーム練習だけではない。FC東京では毎日3時間以上、カターレ富山時代は7時間近く個人練習をしていた。

「僕は、サッカー選手って練習量がぜんぜん足りないと思っているんです。たとえば90分、白熱した試合が終わっても、まだあと90分、試合ができるぐらいの体力を持たないといけないと思いますし、90分終わってヘトヘトで倒れこむような選手にはなりたくない。2試合戦えるぐらいの体力があれば精神的な余裕につながって、よりいいプレーができると思うんです。そのために練習しています」

疲れ知らずは、監督の起用方針にも影響。

 圧倒的な練習量でW杯で結果を出したラグビー日本代表に刺激を受け、それからはさらにハードな練習を自分に課した。その豊富な練習量が、イラン戦に活きた。疲れ知らずのプレーはチームに勇気を与え、大きな力になった。とりわけ手倉森監督にとって中島の存在は大きかった。前試合の疲労を考慮する必要がなかったので、スタメンにも優先的に起用できた。そして、中島はその期待に応えた。

「この2ゴールで、決める感覚を取り戻すことができました。次につながるゴールなので、準決勝でも自分で決めて出場権を勝ち取りたいと思います」

【次ページ】 「特別な選手になりたい」という揺るがぬ目標。

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