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殿堂入りに9年かかった斎藤雅樹。
無口、背筋、そして伝説の10.8。 

text by

鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byKoji Asakura

posted2016/01/22 10:40

殿堂入りに9年かかった斎藤雅樹。無口、背筋、そして伝説の10.8。<Number Web> photograph by Koji Asakura

巨人と中日の最終戦が優勝決定の直接対決となった伝説の“10.8”。斎藤雅樹がリーグ優勝を大きく引き寄せた。

斎藤でも9年かかる「殿堂」のシステムは……。

 そんな斎藤も、有資格者となって9年目でようやく殿堂入りを果たした。

 毎年、この時期には殿堂入りの投票について書いてきた。

 今年はプレーヤー表彰で斎藤とソフトバンクの工藤公康監督が、エキスパート部門では通算2314安打を放った元祖「安打製造機」の榎本喜八さん、特別表彰で日米野球の戦後初開催などに尽力した松本瀧蔵さんと東京六大学で48勝のリーグ通算最多勝利記録を持ちバルセロナ五輪などで日本代表監督を務めた山中正竹さんが選ばれた。

 ただ、カミソリシュートで巨人キラーとして活躍、通算201勝をあげた平松政次さんや、監督として3チームでリーグ優勝を果たした楽天・星野仙一球団副会長らはまたまた選に漏れた。もっとたどれば歴代10位の通算2452安打を記録している土井正博さんや同19位の大島康徳さんら、また元阪神のランディ・バースさんと元阪急のブーマー・ウェルズさんの2人の三冠王も殿堂には入っていない。殿堂入りしておかしくない多くの候補が置き去りにされているのが現実なのである。

 2014年から投票の連記が3名から5名になり、選考委員も増やされたが、それでも票が割れ、入るべき選手がまだまだ選ばれないままに放置されている現実にどう対処していくのか。

 当選基準を有効投票数の75%から下げるという意見も多い。また投票とは別にコミッショナーが推薦して大きな問題がなければ殿堂入りを認めるなどのシステムを考えることも必要かもしれない。

 好き嫌いや感情ではない。本当に凄かった選手を、プロ野球で活躍し、その発展に貢献した人々を顕彰できるシステムを確立してほしい。

 殿堂入りの投票結果を見るたびに、いつもそのことを思うのである。

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