野球クロスロードBACK NUMBER
山崎康、有原、安楽、山崎福……。
'14年ドラフト1位選手の○と×。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNanae Suzuki
posted2015/12/31 11:00
37セーブ、防御率1.92、WHIP0.87という数字はまさに守護神。山崎康晃の快進撃は2016年も続くか。
故障持ちの有望株と即戦力の「×」の違いとは?
一方で、「×」だった選手たちの原因はどこにあるのか? ソフトバンクの松本裕樹や楽天の安楽智大については、「故障持ち」だった彼らに無理をさせないといったチームの方針があったことは言うまでもない。
ただ、即戦力候補となると話は別だ。大学、社会人出身の選手は1年目であってもレギュラークラスの働きが求められるわけだが、結果が伴わない背景のひとつとしてメンタル面があると、ある解説者が言っていた。ちなみに本人もドラフト1位でプロ入りした経験を持つ。
「ドラフト1位で指名されるような選手というのは、だいたい気持ちは強いと思うんですね。でも何試合も結果が出ないと、そういう選手に限って不安になるものなんですよ。1位は新人で誰よりもチャンスを与えてもらえますから、ピッチャーなら『次こそは』と登板日前日でもすごく練習しちゃったり。疲れが抜けないまま投げるからまた打たれる。そういう状況が続いてしまうと、なかなか前向きになれませんよね」
メンタル面で苦しんだ山崎福と野村は2年目に奮起を。
今年、この提言に該当した選手といえば、オリックスの山崎福也と中日の野村亮介ではないだろうか。
山崎福は福良淳一監督代行から「ちゃんと腕が振れていない。気持ちで負けている」と度々苦言を投げかけられており、中継ぎ降格という憂き目にあった。野村も春先に故障したことで「焦りが出た」と本人も認めているように、思うようなパフォーマンスを見せることができなかった。
前出の解説者は、「不安は何年経ってもなくなるものではありませんが、メンタルを磨くことはできます。そのためにも、自分としっかり向き合って野球に取り組むしかない」とも言っていた。彼らにも、明るい未来を手にする権利はあるのだ。今季の教訓を忘れなければ、来季の捲土重来は決して不可能ではない。
結果を出した選手は、その力で2年目のジンクスを打ち払い、苦汁を舐めた選手はチームの信頼を勝ち取るために今一度奮い立つ。
プロに入ってしまえば、ドラフトの順位なんて実際は関係ないのかもしれない。それでも彼らは、矜持だけは忘れてはいけないのだ。