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山崎康、有原、安楽、山崎福……。
'14年ドラフト1位選手の○と×。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNanae Suzuki
posted2015/12/31 11:00
37セーブ、防御率1.92、WHIP0.87という数字はまさに守護神。山崎康晃の快進撃は2016年も続くか。
「×」にはケガなどで調整が長引いた、あの選手が。
「×」(6選手)
ソフトバンク 松本裕樹(盛岡大付/投手)……登板なし
<寸評>高校時代に故障した右肘が完治せず、1年目はリハビリに費やした
オリックス 山崎福也(明治大/投手)……17試合 3勝6敗 防御率4.53
<寸評>先発として結果を残せず中継ぎ降格など不甲斐ないシーズンに
楽天 安楽智大(済美/投手)……1試合 1勝0敗 防御率0.00
<寸評>二軍での調整期間が長引いたが、10月5日のソフトバンク戦で初登板初勝利
ヤクルト 竹下真吾(ヤマハ/投手)……19試合 3勝1敗 防御率9.16(二軍成績)
<寸評>即戦力と期待された左腕もフォームが馴染まず一軍登板ゼロに終わる
阪神 横山雄哉(新日鉄住金鹿島/投手)……4試合 0勝2敗 防御率6.75
<寸評>初登板の巨人戦(5月21日)で7回1失点の好投も一軍登板はわずか4試合
中日 野村亮介(三菱日立パワーシステムズ横浜/投手) 3試合 0勝0敗 防御率10.13
<寸評>春先の故障などが響き、一軍登板は3試合と首脳陣の期待を裏切った
中畑監督の「心中」采配が、守護神・山崎康を確立。
ドラフト1位とは、高卒など一部の選手は将来性を見込まれての評価が含まれるが、多くの場合「アマチュア時代のパフォーマンスをそのまま披露してくれれば、プロでも十分に通用する」と、球団のスカウトや編成担当が判断したからこそ得られる称号だ。
しかし、いざプロの舞台に立てば差は必ず生まれる。故障といった予期せぬ事態に見舞われることもあれば、満足のいくパフォーマンスを出せないことだってあるだろうし、プロの洗礼で精神的に追い込まれてしまう選手だっている。
今年に関して言えば、チーム方針が「〇」と「×」を隔てたと言えるのかもしれない。
この選手を起用し続ける――。監督の「心中」にも近い大胆な采配が生んだ最たる事例が、DeNAの山崎康晃だ。
「先発ではまだ使えないけど、ショートイニングならいい球を投げる。どうせなら厳しいところでやってみろ」
中畑清監督は春季キャンプから山崎の抑えでの起用をほのめかしており、ペナントレース開幕直前のファンミーティングで、本人に向かって守護神を指名したほどだった。
大ベテランの三浦大輔に「堂々としていますよね。9回に山崎が投げれば勝てる、という雰囲気になっている」と言わしめたドラ1右腕が、前半戦首位ターンの原動力になった。9月に救援失敗が続いたことから中継ぎ転向も囁かれたが、中畑監督は抑えとして起用し続けた。新人最多セーブ記録の樹立、新人王の獲得は、チーム方針がもたらしたわけだ。