マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
ドラフトから自主トレ、空白の3カ月。
経験者が語る、「冬」の過ごし方。
posted2015/12/27 10:30
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Kyodo News
10月のドラフト会議からおよそ2カ月。
総勢88名、育成ドラフトを含めれば115名の選手(入団辞退1名)がプロに進んだ。
すでに多くの球団で「入団発表」も済んで、選手たちは来春の始動に向かって、思い思いの毎日を過ごしていることだろう。
いわゆる、シーズンオフ。
オフであるから現役選手には貴重な「お休み期間」なのだろうが、これから新しい世界に進むルーキーたちにはルーキーなりの、オフの「過ごし方」というものがあるはずだ。
実際にルーキーイヤーを体験した先輩選手たちに、“プロ入り前夜”のこの時期をどのように使えば有効なのか……そんな話を聞きながら、今そうした時期を過ごしているプロ野球選手の卵たちにも、なにかの参考になればと願いつつ話を進めていきたい。
「体がなまらないように」という言葉の罠。
そんなに前にさかのぼっても、すでに過去の話になってしまうから、スタートは「ドラフトの日」にしてみよう。
「プロ野球志望届」という制度が11年前に始まり、プロを目ざす高校球児たちは志望届と同時に「退部届」も提出し、正式には、ドラフト前に野球部員ではなくなっている。
すでに新チームは、来春のセンバツを目ざす「秋の大会」もたけなわで、そちらの活動に気を遣いながら、練習に参加させてもらう。
つまり、すでに“お客さん”になっているわけだ。
それでも、この先プロなり大学、社会人なりで野球を続けるために、練習は重ねておきたい。現役チームとの兼ね合いを考えながら、体がなまらないようにボールを追い、汗を流す。
ルーキーイヤーを終えたある選手がこんな話をしてくれたことがある。
「そうなんですよ。体がなまらないように……って、よく言うじゃないですか。みんながそんな言い方するんで、僕もそれでいいんだと思ってしまって、大会中の調整みたいな練習しかやってなかったんです」