マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
ドラフトから自主トレ、空白の3カ月。
経験者が語る、「冬」の過ごし方。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2015/12/27 10:30
ドラフト指名は、高校生の生活を一変させるお祭りだ。しかし同時に、それは競争が始まる日でもあるのだ。
合同合宿に向けて体を作り過ぎない方がいい?
「それと、僕あとから気がついたんですけど、1月の合同に向けて、あんまり体を作り過ぎないほうがいいんじゃないかと思うんですよ」
プロで何年か一軍を経験したその選手は、ちょっと面白い話をしてくれた。
「新人合同自主トレでやることをなんとかやれるぐらいの体を作ってくるぐらいで、ちょうどいいんじゃないですかねぇ……30m、50mのダッシュができる。400mトラック10周ぐらいのランニングができる。塁間ぐらいのキャッチボールができる。なんでもできるぐらいの体を作ってくると、人よりいいとこ見せようとしたくなるじゃないですか。それで無理してパンクしたり。合同で140キロ投げてほしいと思ってる監督なんていませんから。
逆に、その時要求されていることが過不足なくきっちり出来るぐらいに仕上げてくるのも“センス”ですからね。そういうとこ見てますよ。はい、合同で1番になる必要ないんです。オレでもなんとかついていけそうだな、全員には勝てないけど、あいつと、あいつと、あいつには負けてないな……って感じられれば、プロの第一歩クリア。それぐらいの感覚が大事なんです。肝心なのは、2月1日に全力で野球ができるかどうか。すべてはそこですからね」