プレミアリーグの時間BACK NUMBER
元迷監督ラニエリがレスターを修理。
バーディーの11戦連続弾もお手柄?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2015/12/05 10:30
代表歴はおろか、数年前までプロですらなかった男の大躍進。バーディーはどこまで走り続けるのだろうか。
「いじり癖」封印を口にしつつも、施した策。
言うまでもなく、最大の武器であるスピードは生まれ持った才能だが、昨季まではウィンガー的なイメージが強かった。チームにとって降格回避への転機は終盤4月の4連勝だったが、その4試合のうち3試合でバーディーは左アウトサイドを持ち場に与えられていた。昨季はリーグ戦でのベンチスタートも8試合を数えた。
それが今季は、メインストライカーとして不動のスタメンとなっている。そう、チェルシー時代(2000-04年)に「ティンカーマン(腕の悪い修繕屋)」と呼ばれたラニエリは、今夏の就任に際して「いじり癖の封印」を口にしつつ、実際にはチームをいじっていたのだ。
14点中8点が後半15分以降に生まれている。
しかしながら、それは良い意味での微調整だった。バーディーのセンターFW起用は、豊かなスピードとスタミナをチーム最大の武器として生かすための方針にすぎない。速攻カウンターから、ライン裏へのパスにバーディーが反応してネットを揺らしたマンU戦での1点は、記念すべき個人記録達成シーンにして、今季定番のバーディー得点シーンでもあった。
計14得点のうち3点はPKだが、その3度のPKにしても、快足を飛ばしてファウルを誘い、自らが奪ったものだ。敵に疲れが見えてくれば、バーディーのスピードで敵を脅かす効果は更に覿面。14点中8点が後半15分以降に生まれているのも偶然ではないだろう。
颯爽と敵陣中央を駆け抜けてチームにポイントをもたらすパフォーマンスを繰り返せば、自信も更に高まろうというもの。プレミアでゴールを決め始めた終盤の時点でも、取り立ててフィニッシュを誉められるタイプではなかったバーディーだが、今では決定的とまでは言えないようなチャンスも物にしてみせる。自身は2得点で気を吐いた7節アーセナル戦(2-5)、前半早々に角度のない位置から難なく決めた先制ゴールなどは明らかに自信のなせる業だ。