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EURO出場全24カ国を徹底格付け!
Sランクは4つ、意外な高評価の国も。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2015/11/22 10:50
バイエルンではもちろん、代表でもW杯で2大会連続で大量ゴールを決めているミュラー。
ポーランド高評価の理由はもちろんあのFW。
< Bランク >
ロシア/8大会連続12回目出場(ソ連、CIS時代含む)・UEFAランキング9位
オーストリア/2大会ぶり2回目出場・同11位
クロアチア/4大会連続5回目出場・同12位
チェコ/5大会連続9回目出場・同15位
ロシアの最大の殊勲者はレオニド・スルツキ監督だ。CSKAモスクワの指揮官は8月に代表監督を兼務し始めると、不安定だったチームを蘇らせて4連勝で2位通過に導いた。8得点を挙げた注目株のアルテム・ジュバにも期待できそうだ。
そのロシアを抑えて首位通過したオーストリアは安定感が際立ち、9勝1分けとほぼ完璧な足取りを見せた。ワールドクラスへ成長を遂げたダビド・アラバを中心に若手とベテランが融合した現代表を、歴代屈指のチームと評す向きも。
クロアチアは上々に滑り出しながらも、ホームのイタリア戦のピッチ上にナチスを思わせるカギ十字が描かれていたかどで、勝ち点1の剥奪と2試合の無観客試合の制裁を受けて調子を崩した。だが残り2試合の段階でアンテ・チャチッチ新監督を迎える荒治療が奏功し、ルカ・モドリッチを筆頭に育成の名門ディナモ・ザグレブの下部組織出身者を中心とするスキルフルな集団は2位通過を果たした。
チェコには世界的な名手がGKペトル・チェフくらいしかいないが、オランダら複数の強豪が同居するグループから2試合を残して突破。過去には最後に「6」がつく年の本大会で好成績を残しており(チェコスロバキア時代の'76年大会に優勝、'96年大会は準優勝)、EURO2016でも自ずと期待は高まるはず。
< Aランク >
ポルトガル/6大会連続7回目出場・UEFAランキング4位
ベルギー/4大会ぶり5回目出場・同5位
イタリア/6大会連続9回目出場・同6位
ポーランド/3大会連続3回目出場・同17位
初戦でアルバニアに黒星を喫したポルトガルは直後にフェルナンド・サントス新監督を招聘すると、そこから7連勝して首位通過。ベルナルド・シウバやチアゴ・ネービスら新鋭も育っており、クリスチアーノ・ロナウドをサポートする体制はこれまで以上に整っている感も。
ベルギーは上質なタレントの力を存分に活かして、難敵の揃うグループを苦もなくトップ通過。エデン・アザールやケビン・デブルイネの次の世代(ミチ・バチュアイ、ディボク・オリジなど)も頭角を現しており、才能の源泉は湧き続けている。
往時のスタンダードを維持できなくなったアンドレア・ピルロが去りつつあるイタリアは、史上最も地味なアズーリにも見えるが、堅守と勝負強さは健在。無敗での首位通過を支えたのは、最後尾のジャンルイジ・ブッフォンや、レオナルド・ボヌッチ、ジョルジョ・キエッリーニら熟練の守備者と、エデルとグラッツィアーノ・ペッレの苦労人コンビの2トップだ。
ポーランドをここに入れたのは、今や世界一のストライカーと呼ばれるロベルト・レバンドフスキの存在によるもの。得点数(13/予選史上最多タイ)と枠内シュート数(25)は予選トップで、チームの予選最多得点(33)とドイツに肉薄の2位通過に大きく寄与した。