球体とリズムBACK NUMBER
EURO出場全24カ国を徹底格付け!
Sランクは4つ、意外な高評価の国も。
posted2015/11/22 10:50
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
Getty Images
「小国の存在はスープの中の塩と同じだ。彼らが強豪国からサプライズを引き起こす可能性は常にあり、それがフットボールの魅力のひとつになっている」
英『フォーフォートゥー』誌にそう語ったのはリヒテンシュタインのレネ・パウリッチュ監督。彼の率いる代表は今回もEURO本大会を逃したが、つい3年前には同国より世界ランキングの低かったアイスランドや、彼らと同様に史上初の主要大会出場を決めたアルバニアなど、見慣れない顔ぶれがフランスへの切符を手にした。
前回大会から出場枠を8つ増やしたUEFAのミシェル・プラティニ会長の目論見通り、好意的に見れば、裾野は広がったと言える。
プレーオフの全日程が終了して出場国が出揃った今、それらマイナー国から優勝を義務付けられた列強まで、EURO 2016に出場する全24カ国をSからEまで6段階に格付けし、駆け足で予選を振り返りながら紹介していきたい。
< Eランク >
ハンガリー/11大会ぶり3回目出場・UEFAランキング20位
アイルランド/2大会連続3回目出場・同23位
アルバニア/初出場・同31位
北アイルランド/初出場・同33位
かつて“マジック・マジャール”と恐れられたハンガリーが長い低迷期を経て、大舞台に戻ってくる。しかし現代表は、1950年代に世界最強と謳われた攻撃的なチームとは異なり、39歳の守護神ガーボル・キラーリ(今も長袖長ズボンを貫く!)を中心とした堅守を拠り所に、プレーオフの末にしぶとく勝ち上がった。
ロイ・キーンがアシスタントコーチを務め、こちらもベテランのロビー・キーンが健在のアイルランドもプレーオフを経由。伝統の闘志溢れるパフォーマンスで格上のボスニア・ヘルツェゴビナを破り熱いファンを喜ばせたが、総合力を考慮すれば本戦では苦戦が必至か。
今予選最大のサプライズを演じたのがアルバニアだ。乱闘騒ぎとなったセルビアとの没収試合が後に勝利と判定され、この勝ち点3が最後にモノを言った形だが、イタリア人のジョバンニ・デ・ビアージ監督に訓練されたチームは敵地でポルトガルを破ってもいる。
北アイルランドは'86年W杯以来のひのき舞台に臨む。強豪不在のグループFを首位で勝ち抜けたが、予選で7得点を挙げたカイル・ラファティーは所属先のノリッチでベンチを温めており、エースの試合勘が最大の不安材料に。