サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
内田と清武にあり、現代表にないもの。
東アジア杯初戦・テスト合格者はゼロ。
posted2015/08/03 11:15
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
AFLO
東アジアカップは「新戦力のテストの機会」と言われる。
北朝鮮との開幕戦のテストは? 合格者は、ひとりもいなかった。
今回の東アジアカップに招集された国内組の多くは、海外組との比較で選別される。ストライカーは岡崎慎司を、2列目は本田圭佑や香川真司を押し退けなければ、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督のチームでスタメンに食い込むことはできない。もっと言えば、FWなら大迫勇也や原口元気、2列目なら清武弘嗣や武藤嘉紀との比較で上回らなければ、継続的な招集さえかなわない。
内田篤人の負傷離脱で指揮官がキャスティングに苦慮する右サイドバックにしても、酒井宏樹と酒井高徳がいる。人材不足ではない。
北朝鮮戦は7月29日のJ1リーグから、中3日で行われている。翌30日は中国・武漢への移動に費やされたので、実質的に2日間のトレーニングで臨んだ。
そうは言っても、長距離のフライトに揺られたわけではない。日本との時差も、わずかに1時間である。
気候の変化もない。武漢の暑さは厳しいが、日本に似ているため順応はしやすい。準備期間の短さが、コンディション作りに著しい悪影響を及ぼすことはないのだ。
何よりも、海外組には当然の条件ばかりである。欧州から10時間以上のフライトで帰国し、中1日や中2日で実戦というスケジュールも珍しくない。7時間前後の時差も、欧州との気候の変化も、彼らは言い訳にすることはできない。
チームには意思統一が欠如していた。
だとすれば、中3日で武漢のピッチに立つのは、そんなにも難易度が高いことなのか。試合後のハリルホジッチ監督は「フィジカル的な問題」を敗因にあげたが、それを勝敗の決定的な理由としてはいけないはずである。
コンビネーションにしても同様だ。
運動量が激減した後半のゲーム展開と逆転負けは、ディフェンスの局面で誰がどのようにポジションをスライドさせるのか、あるいは誰がどこのスペースを埋めるのかといった練度の低さが、劣勢に拍車をかけていった結果だった。
端的に言えば、チームとしての意思統一が欠如していた。ボールを動かすにしても、ボールを取り返すにしても、個人の頑張りに寄りかからざるを得なかったのである。