サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
内田と清武にあり、現代表にないもの。
東アジア杯初戦・テスト合格者はゼロ。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2015/08/03 11:15
裏への抜け出し、振りの鋭いミドルなど何度もチャンスを作り、先制点も決めた武藤雄樹。しかし彼がスタメンを争うのは、本田圭佑や香川真司である。さらなる結果を楽しみにしたい。
内田篤人と清武弘嗣は初コンビで何故成功したか。
だからと言って、「代表初選出の選手が多いから、コンビネーションを発揮できなかった」と片付けるのは、短絡的ではないだろうか。所属クラブでの積み重ねを発揮できる関係はあり、年代別代表から互いを知る関係も見出せる。そもそも全員がJリーグでプレーしており、それぞれの選手の特徴をイメージすることができる。白紙の状態から立ち上げられたチームではない。
2011年8月の韓国戦で、清武弘嗣が日本代表デビューを飾った。当時セレッソ大阪でプレーしていた彼のプレーを、同じ右サイドの内田篤人はほとんど理解できていなかった。清武はこの試合が国際Aマッチデビュー戦で、内田は前年夏にシャルケへ移籍していたからである。
岡崎に代わってピッチに立った清武に、内田は「どんなプレーをするの?」と聞いた。試合中のコミュニケーションとしてはかなり例外的だが、それでも彼らは連携をはかっていく。アルベルト・ザッケローニに率いられたチームは、3-0で韓国を下した。清武は2アシストを記録した。
時間の無さは即興性でカバーする──少しばかり極端な成功例だとしても、それが代表としての在るべき姿だ。
武藤、遠藤ら個人で能力の片鱗を見せた選手はいたが……。
北朝鮮相手にプレーした選手が、頑張っていなかったと言うつもりはない。
開始早々に先制弾を叩き込んだ武藤雄樹は、浦和レッズでのプレーをそのまま代表に持ち込んだ。本職ではないトップ下のポジションでボールを引き出し、パスの出し手としても決定機に絡んでいる。
武藤の先制弾をアシストした遠藤航も、専門外の右サイドバックで奮闘した。低く速いライナーのクロスは、所属する湘南でお馴染みのプレーだ。前半終了間際には、宇佐美貴史の左CKから際どいヘッドを浴びせている。これもまた、彼のストロングポイントのひとつである。
キャプテンでセンターバックの森重真人は、1点目の失点に絡んでしまった。北朝鮮が後半から投入してきたパワープレー要員のFWに、空中戦で競り負けてしまったのだ。ハリルホジッチ指揮下で吉田麻也とコンビを組む槙野智章も、2失点目の場面で相手選手をつかみきれなかった。