サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
内田と清武にあり、現代表にないもの。
東アジア杯初戦・テスト合格者はゼロ。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2015/08/03 11:15
裏への抜け出し、振りの鋭いミドルなど何度もチャンスを作り、先制点も決めた武藤雄樹。しかし彼がスタメンを争うのは、本田圭佑や香川真司である。さらなる結果を楽しみにしたい。
海外組を押し退けるために、結果を伴うプレーを。
彼らにも気の毒な面はある。
北朝鮮がシンプルなパワープレーに活路を求めてきた後半途中から、日本の最終ラインは絶え間ないハイクロスにさらされた。そのたびに森重と槙野、さらには遠藤が跳ね返していたものの、ペナルティエリア内での競り合いが増えていった。パスの出どころにプレッシャーがかからないために、最終ラインを押し上げることができなかったのである。
後退を余儀なくされたことで、セカンドボールの行き先に危うさが増していく。その結果がふたつの失点だった。
キャプテンの腕章を巻いた森重と、ディフェンスリーダーの槙野に求められたのは、北朝鮮のパワープレーに耐えることではなく、相手の攻撃をしのぐための方法論を、具体的に示すことだった。パワープレーの持続性を奪うために、クリアボールをタッチへ蹴り出すことを徹底させても良かっただろう。それこそが経験を持った彼らの果たすべき役割で、チームとしての練度に頼れないゲームでは、サッカーの原理原則に立ち返るのが最適解だからである。
繰り返すが、選手は頑張った。ただ、海外組を押し退けるためには、瞬間的な輝きでは物足りない。結果を伴ったプレーによってのみ、評価を得ることができる。ほとんどすべてのポジションに、2人以上の海外組が控えていることも忘れてはならない。
その意味で、逆転負けは物足りないのだ。エクスキューズを乗り越えたパフォーマンスを、選手たちは見せなければいけなかった。
テストに合格したとは、言えないのである。