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「僕が上がってもオトリに使え」
長友佑都、勢いから落ち着きへ。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byAFLO
posted2015/06/12 16:30
今季は故障もあり、所属するインテルで苦しいシーズンを送った長友佑都。代表にかける思いはそれだけに強い。
「頭を使う練習メニューが多いから楽しい」
そのフィジカルの強さ、強引なプレーを前面に押し出すようにサイドを駆け抜けてきた。あれから7年の月日が流れた。チームの結果に関わらず長友自身にも、その身体にも変化があるだろう。若さという勢いだけでなく、積み重ねた経験を活かすスタイルへと模索を始める年齢に差し掛かってもいる。
季節の移り変わりに似た、成長の流れのなかでの変化、転機を迎えた長友にとって、ハリルホジッチ監督は大きな刺激を与える存在になっているようだ。
「練習から頭を使わないといけないメニューが多い。タッチ数の制限やビブスの色もそうだし、すべての練習に意図があって、ひとつの練習が次の練習へと繋がっている。頭を使うから楽しい。フィジカル面でも、プレー面でもレベルの高いところを求められている。毎日のようにミーティングをやって、選手ひとりひとりがやるべきことを共有することができた。全員が揃っての戦術練習の時間は少なかったけれど、そのなかでも監督が求めているサッカーをある程度理解できたかなと思います」
宇佐美に「僕が上がってもオトリに使え」。
アジア相手の試合では、気持ち良く攻め上がり、ボールロストからピンチを招くことも多かった。イラク戦ではカウンター攻撃へ備える強い意識を持って臨んだという。攻撃参加の回数は多くはなかったが、自身の前に立つ宇佐美貴史を活かす意図もそこにはあったようだ。
「監督からはしっかりとディフェンスをやってくれと言われているなかで、攻撃参加はタイミングを見ながらやった。タイミングが悪ければ後ろでサポートをする。宇佐美には気持ちよくプレーしてほしかったので、『僕が上がってもオトリに使え』と話していました。
貴史とは初めて同サイドでプレーしたので、試合のなかで、彼の特長だったり、どうすれば気持ちよくプレーできるのかを探りながらやりました。本当に楽しそうにやってくれていたので、ゴールが無かったのは残念ですが、次は獲ってくれるんじゃないかな」