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南野拓実がオーストリアで二冠獲得!
「強者の戦い」を学び、視線は上へ。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2015/06/05 10:40
今季は14試合に出場して3ゴール3アシスト、ELも経験することができた南野拓実。「早く次のステップへ」とビッグクラブへの野心を隠さない男は一足飛びに成長している。
延長戦でカップ戦優勝を手にはしたが……。
1人少ないザルツブルクだったが、延長戦では地力の差を見せつけた。延長前半5分、相手のミスからボールを奪ったエースのソリアーノが、自らドリブルでエリア内に進入して強引にゴールをこじあける。ザルツブルクに待望の先制点が生まれた。
あとがなくなったFKオーストリアが前にでてきたのを見て、ザルツブルクは慌てることなくカウンターを仕掛ける。延長後半3分に途中出場のピレスが抜け出して2点目。これで試合は決まった。
プロ入りから手にできなかったタイトルを、ザルツブルクにやってきておよそ5カ月で2つも手にした南野は、何を感じたのだろうか。
2月14日、ザルツブルクでのデビューを果たしたヴィエナー・ノイシュタット戦のあとで、彼は監督から求められているものについてこう話していた。
「監督が常に一番に言うのは、攻守の切り替えの早さについて。良い守備が良い攻撃につながるというところを練習からやってきました」
逆サイドのスペースまで走って相手をチェックする。
この試合でも南野は、チームが求める姿勢をしっかり見せていた。前半40分、ザルツブルクの攻撃で左サイドの裏のスペースにパスが出ると、南野が逆サイドからボールまで走る。南野よりも先に反応した相手DFが、南野を背中でブロックするようにボールをキープした。すると、南野は後方からすかさず厳しくプレッシャーをかけにいった。相手は前を向けず、苦し紛れにボールを蹴るのがやっとだった。ボールが南野にあたってタッチラインを割ったためボールを奪い返すことは出来なかったが、攻撃から守備に素早く切り替えてボールを奪いに行くというチームの戦い方に沿ったプレーだった。
南野はこう振り返る。
「守備に関しては、このチームのスタイルとして、プレッシャーにいったときにしっかりと寄せきること。それが日本とは違うなと感じています。こっちに来たばかりの頃は、そのための一歩が遅いと感じることがありましたけど、今はどんどん良くなっていると思います。(前半40分のプレーは)ベースですね。ああいうのをやりつつ、相手のサイドバックにもっとプレッシャーをかけていかないと」