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CL決勝直前、ユベントスに緊急事態!!
圧倒的悲観論とテベス&モラタの覚悟。
posted2015/06/05 16:30
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
12年ぶりのCLファイナルへ、ユベントスは手負いの状態で挑む。
チームが余念なく戦術練習に臨んでいた3日、緊急事態が発生した。守備陣の要であるDFキエッリーニが左脚ふくらはぎを痛め、クラブは翌日、肉離れの診断結果と決勝戦欠場を正式に発表した。
イタリア王者自慢の“守備のB-B-Cトリオ(バルザーリ、ボヌッチ、キエッリーニ)”の一角が、決勝戦本番を前に崩れた。キエッリーニの離脱は、指揮官アッレグリが決勝戦用に描いていたゲームプランが大きく狂ったことを意味する。
欧州カップ戦での手腕を見込まれて、今季からユーベ監督に就任したアッレグリは、今大会グループリーグのオリンピアコス戦から4バックを本格的に導入し、ユーベに2年ぶりの大会16強進出をもたらした。
ドルトムントとASモナコ、レアル・マドリーを倒してきた決勝トーナメントにおいて、リードを奪った後、後半に3人目のCBバルザーリを投入して、守備固めの3バックへスイッチする“可変ディフェンス”は、欧州でのユベントスの勝ちパターンとして定着した。イタリア伝統の対人守備能力を備えた3人のセンターバックを中心に、サイドバックと中盤が挟んで詰める鉄壁の包囲網こそ、ユーベが12年ぶりにファイナル進出を手繰り寄せた勝利の方程式だった。
キエッリーニ欠場で、3バックは事実上使用不可能に。
準決勝までのCL12試合すべてに先発してきたキエッリーニの欠場によって、6日の決勝戦では、ボヌッチが左センターバックへスライドし、空いた右には、先月23日のナポリ戦で痛めた右太腿肉離れから復帰したばかりのバルザーリがスクランブル起用されるだろう。
これで、対バルセロナ用の大きな武器になるはずだった3バックは使えなくなったも同然。仮に、3バックを使うとしたら、経験の浅いリザーブのオグボンナを入れるしかない。極度のプレッシャーがかかる決勝戦の終盤で、3バックに移行するのは相当なリスクを孕むことになる。