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Jの先を行くドイツ代表の「科学力」。
W杯優勝を支えたシステムが進化中。 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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posted2015/05/11 10:40

Jの先を行くドイツ代表の「科学力」。W杯優勝を支えたシステムが進化中。<Number Web> photograph by Getty Images

ブラジルW杯で使用していた分析システムの「マッチ・インサイト」では得失点シーンをすぐ見られるなどの簡便性向上に留まっていたが、今回の「スポーツ・ワン」では試合、練習、ケガ管理など統合的なシステムに進化した。

選手のフィットネス履歴が一目瞭然。

 SAP社はブラジルW杯後、新たにバイエルン・ミュンヘンとパートナー契約を結び、グアルディオラのアドバイスの下、練習を分析するシステムを開発していた。さらにケガ人の管理にも取り組んでいた。

 試合、練習、ケガ人管理。このすべてのデータをつなぎ合わせ、統合したのが『スポーツ・ワン』である。

 いったいこのシステムの何がすごいのか? ここでは3つの利点に注目したい。

 まず1つ目は「情報の可視化」だ。

 ミュンヘンのアリアンツ・アレナで行なわれた『スポーツ・ワン』のデモンストレーションでは、バイエルンが例として示された。

 フィットネスの欄をクリックすると、バイエルンの選手の顔写真の横に、赤・黄・無色という3つのカラーでケガの状態が示された。もちろん赤がもっともひどいケガだ。

 さらに選手名をクリックすると人体図が現われ、どこを負傷しているかが赤い点で示される。さらにボタンを押すと、今までのケガの履歴が人体図の上にすべてプロットされた。選手ごとに、どの部位を負傷しやすいかが一目瞭然だ。

 同システムには日々の練習メニューが入力されており、ケガをするまでにどれくらいの負荷をかけて練習したのか、すぐにわかるようになっている。今後、データが蓄積されれば、ケガの予測と予防に応用できる見込みだ。

【次ページ】 監督から選手達に、映像とコメントをワンタッチで。

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