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黒田博樹が激怒した本当の理由とは。
内角球には「自覚と技術」が必要だ。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/05/01 10:30

黒田博樹が激怒した本当の理由とは。内角球には「自覚と技術」が必要だ。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

黒田博樹の日本復帰のお祭り騒ぎは一段落した。しかし今回の内角騒動は、彼の存在から日本球界が学ぶべきものが無数にあるということを再確認させてくれる事件だったのではないだろうか。

内角に投げるときこそ、制球の技術を。

 あの場面で藤浪は、黒田にバントをさせようとしていた。ただ、バントをさせて二塁で封殺しようとしていたのだから、自由に転がさせるわけにはいかない。そこで内角の厳しいところを狙って投げたが、そもそもそこにきちっと投げ切る技術がない上に、バント処理を焦って早くマウンドを駆け下りることばかりが頭にあった。だから中途半端なフォームで、余計に腕が振れないままに意思のない球を1度ならず、2度も続けた。

 黒田は、投手としてそのことに怒ったのではないだろうか。

「思い切り腕を振って投げてくればいい」

 内角に投げるときこそ、自信を持って思い切って腕を振って、きちっとボールを制球できる技術を身につけてきなさい――。この言葉が内包する意味は、そういうことだと想像がつく。

藤浪には自覚と技術が欠けていたのでは、と。

 もちろん黒田は、投手にとって内角は生命線で、内角を攻められなければ生き残っていけないことを知っている。ただ、内角にボールを投げるということは、一つ間違えば打者を大きな危険にさらす自覚が必要なことも分かっている。だからそれだけ高い技術を要求されると考えるのである。

 黒田が「自分も打者の頭に当てたことがあるが、そういう経験を乗り越えて強くなれ」と語ったのは、彼自身もそういう経験からきちっとした内角論を築き、それを支える技術を身につけてきたということなのである。

 極端に言えば当たった、当たらない、えぐった、えぐらない、という結果の問題ではなかったのかもしれない。1度ならまだ間違いはある。ただ2度、意思のない同じボールを投げてきた。その事実に、藤浪には内角に投げる自覚も技術も欠けていると、黒田は感じたのかもしれない。

【次ページ】 謝るよりも、技術向上に取り組むしかないのだ。

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