スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
バルサの外国人依存が代表に波及。
デルボスケに戦略の「軸」はあるか。
posted2015/03/25 10:40
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph by
MarcaMedia/AFLO
先日発表された3月のFIFAランキングにて、スペイン代表が2007年1月以来、8年2カ月ぶりにベスト10入りを逃し、11位に順位を落とした。
EURO2008を制した直後の'08年7月以降、昨年6月まで6年にわたってほぼ常にFIFAランクの1位を独占し続けてきたスペインだが、1勝2敗のグループ敗退に終わった昨年のW杯後もEURO2016予選でスロバキアに足をすくわれ、親善試合でフランス、ドイツに完封負けするなど、かつての強さに陰りを見せている。
アラゴネス前監督時代からチームを支えてきた2人、シャビ・エルナンデスとアロンソがW杯後に引退したとはいえ、ブスケッツやイニエスタ、シルバ、セスク、カソルラら常連組に、コケやイスコら若手を加えた中盤は今も質量共に世界屈指の陣容を誇る。
後方に目を向けても、成長著しいデヘアがカシージャスの立場を脅かし、ラモスとピケのセンターバックコンビが成熟期を迎え、両サイドバックにはカルバハル、フアンフラン、アスピリクエタ、アルバ、ベルナト、アルベルト・モレノ、ガヤなど他国が羨むほど多くの人材が溢れている。
唯一決め手を欠く前線も、コスタとペドロに加え、W杯後には4戦連続ゴールで一気に株を上げたアルカセルを筆頭に、ロドリゴ、モラタら若手がチャンスを得ている。実力的にはアドゥリス、ネグレド、トーレスらベテランもまだまだ戦力として計算できるし、セスクやシルバをファルソヌエベ(偽の9番)とするオプションもあるのだから、やはり選択肢には事欠かない。
バルサスタイルをベースに、栄華を極めたスペイン。
これだけ豊富かつ優秀な駒を揃えながら、デルボスケはしかし、W杯以降の新たなチーム作りにおいて、いまだ明確な方向性を見いだせずにいる。
2008年の就任以降、デルボスケはアラゴネスが築いたポゼッションスタイルを引き継ぎ、当時栄華を誇ったバルセロナの選手たちを多数主力に据えた。さらにバルサ型4-3-3やファルソヌエベシステムといったグアルディオラの戦術を取り入れることでチームを進化させてきた。X.アロンソとブスケッツを併用するドブレピボーテなど異なる点もあったものの、近年スペイン代表のベースがバルサであり続けたことは紛れもない事実だ。